やじきた道中 てれすこ シネマの世界<第137話>
私の住まうマンションの掲示板に貼られた映画案内のタイトルにあった‘てれすこ’が、何かおもしろそうで気に
映画は、これまで幾度となく製作されて来た「やじきた道中」時代劇コメディながら平山秀幸監督(1950~)の落語ネタを随所に仕込んだ一味違った演出と何より“名優二人の演技合戦”が、見ものでした。
平山監督の時代考証は、背景や衣装、道具類の細部まで行き届き、映像に映る隅々まで注意が払われていました。
中村勘三郎と柄本明の二人が、絡みかけあう演技は、実に‘お見事’と感心するばかりで、二人のシークエンス(シーンの連続)を見ているだけでも十分満足でき、コメディ時代劇の秀作映画です。
「てれすこ」とは、落語の演目の一つで、大阪の河で獲れた名前の分からない不思議な魚のこと、奉行所が、名前を知る者に10両の報奨金(ほうび)を与えるとフレを出したところ「てれすこ」(望遠鏡をオランダ語でテレスコウプと言いその短縮形)という魚だと言う男が、現われたことから始まる噺(はなし)です。
イカは、干したらスルメという呼び名に変わる、そんなこたぁ、当たりめえ(アタリメ)じゃねえか、など落語のオチも挿入されていて、とにかくおもしろい映画です。