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心の時空

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ラスト、コーション  シネマの世界<第130話>

a0212807_215339.jpg台湾出身の名匠アン・リー監督(李安、1954~)の2007年作品「ラスト、コーション(原題:色、戒)」は、中国近代文学で魯迅と並ぶと言われる女流作家アイリーン・チャン(張愛玲)の短編小説「色、戒」が原作で、第二次世界大戦末期、日本軍占領下の上海を舞台にした‘女と男’の哀しくも激しい愛の物語です。
主役の‘女と男’を演じるのは、1万人のオーディションから選ばれた新人女優タン・ウェイ(1979~中国、浙江省)と人気男優トニー・レオン(1962~香港)、女(タン・ウェイ)は、抗日学生組織の一員(後にスパイ)で、男(トニー・レオン)は、日本軍の上海占領に協力する中国(南京)政府特務機関の責任者(中国で裏切り者を漢奸と蔑む)で、中国人(漢民族)の反日活動を弾圧することを任務としています。
男は、反日活動家を逮捕しては、情け容赦ない拷問で秘密情報を掴み、抗日の活動家を次々に逮捕して処刑(廃坑で銃殺)していきます。
a0212807_222759.jpg抗日組織は、彼の暗殺を計画し女をスパイに仕立て上げ、緻密な作戦で彼の近くに潜入(妻の友人となる)させました。
彼の行動を監視、その情報を逐一暗殺団の同志に渡しました。
彼女は、同志たちと暗殺のチャンスを待ちますが、男は、狡猾で用心深く、誰であれ常に警戒し人を信用しない人物でした。
この映画の重要な見どころは、主人公二人が、時おり交わす官能的な眼差し(視線)と女が、男に少しずつ近付き、男が女への警戒を解いていくたびに激しくなる性愛シーンです。
映画の生々しい性愛シーンは、トニー・レオンに新人のタン・ウェイが、正しく体当たりの過激で官能的(エロチック)な演技がすさまじく、きっと映画史残る性愛シーンになるでしょう。
女と男が、お互い魅かれ合っていくストーリーの展開に重要な性愛シーンは、トニー・レオンとタン・ウェイ、そしてアン・リー監督ほか撮影スタッフを入れ計6名で12日a0212807_235591.jpg間の集中撮影だったそうです。
ベッドでのトニー・レオンとタン・ウェイの激しい演技には、すべてアン・リー監督の演出と指示があり、タン・ウェイは、当時の風俗にこだわるリー監督からわき毛の処理もしないように指示されていたと後日談で語っています。
「ラスト、コーション」(最後の警告)は、戦争映画なのに戦闘シーンはなく、時々銃弾音がするくらいで、チャイナ・ドレスを着た女性たちの麻雀シーンと性愛シーンの映像を撮影のロドリゴ・プリエト(1965~、メキシコ)が、官能的に映していました。
アレクサンドル・デスプラ(1961~フランス)の音楽も気持ちの良いものでした。
映画「ラスト、コーション」は、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)と撮影賞を受賞しています。
映画は、R-18指定に指定されていますが、私は、恋愛映画の秀作と思います。
by blues_rock | 2013-02-12 01:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)