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心の時空

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a day in my life

高瀬舟:森鴎外著

「高瀬舟」は、明治の文豪森鷗外(1862~1922)が、54才の時、中央公論に発表した短編小説です。
(あらずじは中央に、原文はこちらで、読むのが面倒で朗読をお聞きになりたい方はこちらへどうぞ。)
高瀬川は、京都の中心部を北から南へ鴨川に沿って流れています。
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その高瀬川を行き来する小舟が「高瀬舟」で、その小舟で弟を殺した罪人兄の喜助が、島流しの刑を受け、町奉行所の役人庄兵衛に護送され「高瀬舟」で島送りされています。
森鷗外は、軍医だけあって100年も前に短編小説のテーマに“安楽死”を取り上げています。
              ■「高瀬舟」のあらすじ■
a0212807_0463445.jpg今から200余年前の寛政のころ、弟を殺した罪で兄喜助は、高瀬舟に載せられ高瀬川を下り島送りにされました。
町奉行所護送役の庄兵衛は、島送りになる喜助が、悲痛な表情をせず楽しそうな顔をしているので「喜助、お前何を思っているのか?」と訊ねました。
喜助は、「幼いころに両親を病で亡くし弟と二人、今まで助け合って生きてきました。京都の西陣織物屋で働いていたとき弟も病に倒れ、ある日、仕事から戻ると、弟は、ノドに剃刀を突き刺し、血だらけになっていました。弟は、早く死んで兄を楽にしたいとの思いでノドを切ったのですが、切り切れず剃刀を抜けば死ねるので早く抜いて欲しいと懇願しました。」と庄兵衛に言いました。
喜助は、医者を呼びに行こうとしますが、弟は「医者がなんになる、ああ苦しい、早く抜いてくれ、頼む。」と兄に言いました。
喜助は、苦しむ弟のノドから剃刀を抜きました。
その時、近所の老婆が、家の中に入って来ました。
a0212807_1113041.jpgそして老婆は、「あっ!」と言って表へ出て行きました。
庄兵衛は、今までの自分たちの苦しい生活を思えば、罪人とは言え、身も食事も保証される島流しを喜ぶ喜助に、俸給の節約もせず、生活費が足りなくなると妻の実家に支援を仰ぐ自分の姿を省みます。
庄兵衛は、罪人の喜助をいつの間にか「喜助さん」と呼ぶようになりました。
喜助のした行為を「弟殺し」と呼ぶのだろうかと次第に疑問をもつようになりました。
庄兵衛は、自分では判断することができず、奉行の裁きに従うほかないと思いながらも奉行の裁きをそのままa0212807_112359.jpg受け入れ自分の裁きにするには、どうしても腑に落ちないものがありました。
次第に更けて行く朧夜に、沈黙した二人を載せた小舟は、高瀬川の黒い水面(みずも)を滑るように下って行きました。
by blues_rock | 2013-02-11 00:38 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)