ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

幸福の罪  シネマの世界<第121話>

日本では劇場未公開映画(なんで!?)ながら、2011年チェコ映画の秀作「幸福の罪」を今夜はご紹介します。
チェコ語の原題は「無罪」で、私は「無罪」のほうが、映画の主題を的確に表現していると思いました。
a0212807_2320257.jpg映画の物語は、チェコの‘幸福そうな’家族内の複雑な‘愛の物語’です。
‘幸福そうな’家族の愛の物語は、映画が終わるまで実にシリアスにサイコチックに展開していきます。
この映画でヤン・フジェベイク監督(脚本)を初めて知りましたが、相当の才能を感じました。
フジェベイク監督は、チェコ映画監督を代表する俊英なのだとか、チェコのアカデミー最優秀作品賞3度、最優秀監督賞3度受賞、さもありなん「幸福の罪」は、心理ドラマの秀作映画でした。
1974年に公開されたスウェーデンのベルイマン監督作品「ある結婚の風景」を見た時と同じ心(精神)に染み入る感動を憶い出し、私たちが日常の家庭生活や社会秩序に必要とされるモラルや風俗の常識という仮面を引っ剥がされた思いでした。
a0212807_2320494.jpg
なぜ、これほどの秀作映画が、日本で劇場公開されないのか‥私には、さっぱり分かりません。
私が映画を見たいと思う三つの基準は、「監督」・「脚本」・「配役(俳優)」で、さらに撮影(映像)・美術(プロダクション・デザイン)・編集(構a0212807_23211735.jpg成)・音楽の四つを加え、七つの条件から判断します。
フジェベイク監督の優れた映画センス、良く練りあげられた脚本、カットバックする構成と編集の巧さ、顔の表情を映した映像、映画に登場する俳優たちの演技のすばらしい‥この映画に出演した俳優二人が、チェコのアカデミー最優秀主演女優賞と最優秀助演男優賞を受賞しています。
‘幸福そうな’家族それぞれの肖像‥親子の情愛、夫婦の愛、禁じられた性愛、危険な恋‥その愛の底に重層する嫉妬と憎悪の罪を感じた時、‘幸福そうな’家族それぞれの愛が、音を立てて崩壊していく事態を映画は、見ている者にまるで「しっかり見ておくのですよ、これはあなた自身のことですよ」と語りかけてくるようでした。
フジェベイク監督の人間や家族への視点は、恐ろしいまでにクールで、人間心理への切り口も(意地悪なくらいに)鋭く、この映画は、映画好きの方にぜひ見て欲しい私のお薦め映画です。
by blues_rock | 2013-01-24 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)