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博士の異常な愛情(‥長いタイトルなので以下省略)  シネマの世界<第118話>

a0212807_23257.jpgスタンリー・キューブリック監督の1963年映画「博士の異常な愛情」の正確なタイトルは、「博士の異常な愛情、または、私はいかにして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (原題:Dr. Strangelove or How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)」と長く、映画公開のためタイトルを短い表現に変えるようキューブリック監督に求めても許可しなかったそうです。
日本上映では、「博士の異常な愛情」と短いタイトルになっているので、ピーター・セラーズ演じるサイコな水爆狂元ナチスの科学者Dr. Strangeloveを‘博士の異常な愛情’と意訳したことが、キューブリック監督の了解を得た理由だろうと推察します。
この映画は、キューブリック監督「SF三部作」最初の作品で、また白黒フィルムで撮影した最後の映画としても記念すべき作品です。
50年も前に製作された作品ながら、名画のポイントである「名監督・名脚本・名優」は言うに及ばず「撮影・美術・編集」にもすぐれていて、今見ても新鮮で格調を感じる傑作映画だと思います。
a0212807_2412315.jpg映画のストーリーは、アメリカとソ連が、世界を二分し核兵器による軍事覇権争いをしている時代を舞台にしています。
両国は、攻撃核兵器と報復核兵器を世界中の軍事基地に配備し軍事機密を探り合い、相手の動きに疑心暗鬼で緊張も極限に来ていました。
ある日、突然アメリカ核戦略空軍基地の司令官(将軍)が発狂、精神に異常を来たし、司令官付きイギリス空軍将校(ピーター・セラーズ)のあの手この手の制止も虚しく、将軍は、自分の指揮下の核戦略爆撃機B-52編隊に非常時緊急指令の極秘暗号を使って‘ソ連軍核ミサイル基地’の攻撃を命じました。 (右下写真 : ピーター・セラーズ演じるサイコな水爆狂元ナチスの科学者Dr. Strangelove )a0212807_2442147.jpg
異常事態に気付いた国防総省とホワイト・ハウスは、アメリカ大統領(ピーター・セラーズ)のもと国家防衛戦略会議を招集、ソ連の首相とホットラインをつないで事情を説明しますが、夜中に酔っ払っているソ連の首相もトンチンカンで非常事態を理解できず、チンプンカンプンのやりとりの末、電話を切られてしまいました。
アメリカ大統領の要請によりB-52編隊のほとんどは、ソ連の迎撃ミサイルに撃ち落とされたものの撃墜を免れた1機が、ソ連核兵器基地に到達し水爆を投下しました。
映画は、ヴェラ・リンの歌「また会いましょう」にのせて、次つぎに核爆発の映像を映し‘The End’が、表われて終わります。(映画紹介のシーンはこちらです)
この映画は、水爆実験や核兵器をブラック・コメディのネタにして、核戦争に突入していく二つの軍事超大国をパロディ化、水爆狂の元ナチス科学者Dr. Strangeloveの様子はサイコ・ホラーのようで、発狂した将軍の核攻撃命令と核戦争突入シーンは、シリアスな心理劇のようでもありました。
ピーター・セラーズ(1人三役、下写真)ほか共演者たちの名演技や脚本(もちろんキューブリック監督)の良さはa0212807_2481547.jpg言うまでもなく、キューブリック監督の演出に対する映画関係者の評価が、極めて高い作品です。
映画製作では、完璧主義で自分の指示通りでなければ、OKを出さないキューブリック監督ですが、この映画では、ジャズ奏法のリフ&アドリブをピーター・セラーズに許し、彼の興に乗った自由な演技が、この映画の演出に見事に生かされていました。
映画に登場する核攻撃用爆撃機B-52の内部構造は、アメリカ空軍の軍事機密でしたので軍の協力がなく、仕方なくキューブリック監督の美術チームが、創意工夫してB-52コクピット内部のスタジオ・セットを製作しました。
そのコクピット内部が、実機とあまりにもそっくりだったため美術チームは、FBIの捜査を受けたとの後日談もありました。
by blues_rock | 2013-01-01 01:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)