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心の時空

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デザートフラワー  シネマの世界<第109話>

実在するソマリア遊牧民出身のスーパーモデルで女優・女性人権擁護家ワリス・ディリー(1965~)のショッキングな自伝「砂漠の女ディリー」をワリスの信頼厚い女性監督シェリー・ホーマンが、自ら脚本を書き監督、ドイツ・オーストリア・フランスが、共同製作した映画です。
テーマは、アフリカほか世界中の一部地域に今も残る因習 “女性器切除(FGM)”の実話で、ワリス・ディリーの自伝を元に映画化した2009年作品です。
映画のタイトル「デザートフラワー」とは、砂漠の花という意味‥砂漠に咲く花の色は、女性器切除されてアフリカの大地に流した幼い女の子たちの血の色(出血多量で死んだ幼子たちの血の色)だろうと思います。
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ワリス・ディリー役を同じアフリカ(エチオピア)出身の現スーパーモデル、リヤ・ケベデ(1978~)が、3,000人のオーディションから選ばれ、体当たりの演技で熱演しています。
ワリス・ディリーは、モデルを続けながら女性人権擁護家として自分が5才の時に強制的に手術されたFGMの廃絶に向け国連特別大使も務めました。
アフリカ一部地域の処女信仰の因習とは云え、女の子に生まれると幼児のとき砂漠の水もない不衛生な状況で、麻酔や鎮痛剤の投与もなく母親に押さえられて(母もまた幼児のときされたこと)、激痛に耐え泣き叫びながら助産婦からカミソリあるいはナイフで女性器を切除され、マッチ棒くらいの尿道だけ残し縫合する手術を強制的に受けるのです。
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1997年ワリス・ディリーが、スーパーモデル絶頂期の32才のとき「マリー・クレール」誌の取材に“女性器切除(FGM)”の悲劇を公表し、因習の廃絶を訴えました。
2002年には、ウィーンを拠点にして、FGM廃絶のためのワリス・ディリー基金を設立、FGM廃絶に向けた活動を開始しました。
2006年ヨーロッパ連合(EU)が、公式にFGM廃絶をアピールしました。
2007年フランス政府は、ワリス・ディリーに同国最高勲章である‘レジオンドヌール勲章’を授与しました。
ケニア・ガーナなどアフリカ14か国で、FGMを禁止する法律を制定しました。
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          (ワリスを演じたリヤ・ケベデ左と映画のモデルとなったワリス・ディリー右)
それでもまだ因習の残る地域を始め世界中で年間20万人以上の幼い女の子が、女として生まれたがゆえに“女性器切除(FGM)”の被害に遭っているとのこと、これは紛れもなく、幼児への性的虐待であり、明らかに人権無視の刑事犯罪(性犯罪)です。
ワリス・ディリーは、旧い因習の中でいまも生きる世界中の女性の希望と正義のため、自らの辛い幼児体験を強い信念に変えて、FGM廃絶と女性人権擁護の活動を続けています。
by blues_rock | 2012-11-28 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)