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心の時空

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時計じかけのオレンジ  シネマの世界<第108話>

スタンリー・キューブリック監督(1928~1999没、享年71才)の作品は、いつ見ても新鮮でおもしろい映画です。
キューブリック監督は、自作映画において製作・監督・脚本はおろか撮影・音楽・編集など映画全般に指揮をとる‘完全主義者’で知られています。(参考:シネマの世界‥「アイズ・ワイド・シャット」
1971年の映画「時計じかけのオレンジ」も製作・監督・脚本をキューブリック監督自身が、担当しています。
スタンリー・キューブリック監督のSF三部作は、1964年公開映画「博士の異常な愛情(私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか)」、1968年公開映画「2001年宇宙の旅」と続き、SF三部作の最後が1971年公開映画「時計じかけのオレンジ」でした。
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映画のストーリーは、近未来のロンドンが舞台で、イギリスの国家規範は、自由放任主義と管理的全体主義とが混在する社会体制で両者が、政治対立していました。
その両極端なパラダイムの在りようをキューブリック監督ならではのアイロニー(皮肉)たっぷりの映像とリアリズムで鮮烈な風刺劇として表現していました。
ロンドンの街には、無法と暴力が満ち溢れ、異様な成りをしたチンピラたちが、毎晩ドラッグ入りのミルクを飲んでは、徘徊し行く先々で、暴行・レイプ・強盗・殺人など極悪非道な行為を繰り返していました。
郊外の家に押し入ったチンピラ・ギャング4人のリーダー、アレックス(マルコム・マクダウェルが怪演)が、鼻歌
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(雨に唄えば)を唄いながら家の主(あるじ)に暴力を振るい、彼の目の前で妻をレイプする非道ぶりにキューブリック監督の自由放任主義への痛烈なアイロニーを感じました。
この自由放任主義のアンチ・テーゼとして国家権力(政府)は、全体主義的社会統制と市民を管理する方法を画策します。
自由放任主義思想による凶悪犯罪の増加で刑務所の中は、受刑者で溢れ、刑務所の合理化と管理強化のためイギリス政府は、犯行の非道さ残忍さでマスコミの注目度の高い犯罪から、服役中のアレックスを ‘洗脳’改造し更生させる人体実験のプロパガンダ(国家政策の宣伝)に利用しました。
a0212807_17178.jpgアレックスは、政府の秘密実験室に監禁され、彼に暴力や性行為に対して過剰な嫌悪感を示す医学実験を行ないました。
アレックスが、眠れないように彼の両瞼(まぶた)を装置で開き、彼の愛するベートーベンの音楽「交響曲第9番」を大音響で流しながら、暴力や性行為の映像を何日も見させるという拷問のような人体実験をアレックスに行ないました。
この拷問のような洗脳実験から彼が逃れる方法はただ一つ、自殺することでした。
これから後のストーリーは、映画「時計じかけのオレンジ」をご覧になる方のお楽しみに残しておきます。
映画最後のシーンは、いつ見ても何回見ても‘最高!’です。
キューブリック監督は、映画の撮影に入る前、ロンドンで上映された松本俊夫監督の映画「薔薇の葬列」(1969)を見て感動、「時計じかけのオレンジ」には、コマ送りシーンなどにその影響が感じられます。
41年前の映画ですが、旧さはまったくなく‘最新映画’の傑作と言えるでしょう。
by blues_rock | 2012-11-26 10:41 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2012-11-26 21:27
こんばんは。

この映画は、とても好きな映画なのでDVDにコピーしていました。
今でも時々ひっぱりだしてきて観てますが、今観ても本当に古さを感じさせないところが凄いですね。

難解なキューブリックの映画の中で、この映画だけは主題がよくわかりました。
この映画わ観て以来、キューブリックの映画はかならず封切り直後に見に行ってたのですか、その都度、意味がわからずにずっと考え込んでました。

キューブリックの未完の作をスピルバーグが完成させたAIは、キューブリックとはずいぶんタッチの違う映画になってましたね。
Commented by blues_rock at 2012-11-26 22:27
「アイズ・ワイド・シャット」の撮影で相当心身を消耗したのが、キューブリック監督の死期を早めたかもしれませんね。
「AI」をキューブリック監督最期の映画芸術作品として見たかったと残念でなりません。