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心の時空

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a day in my life

二つの「クラッシュ」  シネマの世界<第104話>

「クラッシュ」という同じタイトルの映画を二人の鬼才監督が、それぞれ撮っています。
一人は、デヴィッド・クローネンバーグ監督(1943~)、もう一人が、ポール・ハギス監督(1953~)です。
同じ「クラッシュ」というタイトルながら、共通するのは、高速道路での‘自動車事故’だけで、映画のストーリーも内容もまったく違います。
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人間の愛(男と女の愛)が、‘自動車事故’を通して変質していく過程を描くのに、この発想の相違は、どこから来るのか‥と私は、興味を持ちました。
クローネンバーグ監督の「クラッシュ」は、1996年のカンヌ国際映画祭で上映されると絶賛する人たちとブーイングする人たちに評価が分かれました。
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クローネンバーグ監督は、そもそも自分の撮りたい映画を自分の撮りたいように撮るアンダーグラウンドの雄として名高く、その陰鬱な作品についての評価は、いつも映画ファンを賛否両論の渦に巻き込みました。
現在、福岡市天神のソラリア館で上映中(11月16日まで)の映画「危険なメソッド」(2012)も覚悟して見ないとクローネンバーグ監督の才気ある精神に押しつぶされてしまいます。
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クローネンバーグ監督の「クラッシュ」は、性愛シーンが多く、恋人や家族と一緒にリビングで楽しめる映画ではありません。(ハードな性描写が多く、成人映画R18+指定)
陰鬱な映像やコケティッシュな衣装(コスチューム)にクローネンバーグ監督ならではの才気を感じました。
ハギス監督の「クラッシュ」(2004)は、ロスアンゼルスのハイウェイで発生した自動車事故をきっかけにして、a0212807_2336517.jpgアメリカの多民族社会が抱えるストレス(差別・偏見・憎悪など)が、一気に噴き出し、次々に起きる事件とそれに対峙しながら乗り越えて行く人たちの勇気と愛の物語です。
寛容な心を忘れたストレス社会は、交通事故という些細なことでも、フラストレーション(欲求不満)に火が点き暴力を誘発します。
様々な人種・出自・階層・職業の人々の間に横たわる相互不信が、それぞれの人生に深く関わり連鎖反応を引き起こしていくシリアスなヒューマン・ドラマでした。
ポール・ハギス監督は、「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本・製作(監督はクリント・イーストウッド)で2005年アカデミー賞作品賞を、「クラッシュ」の監督・脚本で2006年アカデミー賞作品賞と2年続けて作品賞を受賞しました。
アカデミー賞の歴史で2年連続作品賞を受賞したのは、ポール・ハギス監督が、初めてです。
二つの「クラッシュ」ともに秀作映画ですが、クローネンバーグ監督の「クラッシュ」の方は、少しシンドイかもしれませんので心してご覧ください。
by blues_rock | 2012-11-12 00:24 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)