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心の時空

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ディア・ブラザー  シネマの世界<第100話>

映画は、無罪ながら殺人罪で終身刑の判決を受けた兄と寸分も兄の無罪を疑わない妹の強い絆の物語‥だからタイトルを「ディア・ブラザー」にしたのでしょうが、何とつまらない安っぽいタイトルでしょう。
2010年のアメリカ映画で原題は、「Conviction(有罪判決)」です。
映画は、実話を元に製作されているのでリアリティがあるだけに、せめて原題を直訳し「有罪判決」か、少しひねって「冤罪」くらいのタイトルにして欲しいと思います。
ディア・ブラザー  シネマの世界<第100話>_a0212807_12181851.jpg映画のストーリーは、アメリカの田舎町で女性の惨殺死体が、発見されたところから始まります。(予告編はこちら
子供のころから乱暴者で暴力沙汰が絶えず犯罪歴のある兄を警察は、ろくな捜査もせず最初から犯人と決め付け、脅迫して数人の証人をでっち上げ、証拠を捏造(ねつぞう)し逮捕します。
幼いときから妹は、いつも兄と一緒で大人になってお互い家庭を持っても仲の良い兄妹でした。
妹だけは、兄の無罪を確信し裁判に臨みますが、警察から偽証するよう脅迫されている証人たちの証言(事実は映画の後半に分かります)で、兄は仮釈放なし終身刑を宣告されます。
裁判を上告し法廷闘争を続けるには、莫大な費用と時間、何より被告の無罪を信じきるたいへんなエネルギーが、必要でした。
精神的な重圧で刑務所のなかで自殺未遂を起こす面会室の兄に向って妹は「私が兄さんをここから必ず出す。自殺しないと約束して!約束しないなら私が兄さんを殺す。」と強く約束を迫ります。
高校中退ながら妹は、自分が弁護士になるしかないと決意し、孤立無援ながら高校を卒業し大学(法律学校)へ進学、猛勉強して弁護士になりました。
兄の裁判再審手続きを始めますが、10数年以上も前の事件なので裁判所も警察も非協力的でした。
ディア・ブラザー  シネマの世界<第100話>_a0212807_12191293.jpg兄と妹18年間のConviction(信念・確信)の記録です。
この映画は、壁を乗り越えながら完成に9年の製作期間を要しました。
監督はトニー・ゴールドウィン(1960~)、主役の妹を演じたヒラリー・スワンク(1974~)は、プロデューサーの一人でもあります。
兄役にサム・ロックウェル(1968~)、クリスチャン・ベイルそっくりな時があり驚きました。
アカデミー主演女優賞を2度受賞したヒラリー・スワンクの演技は、申し分なく、兄役のサム・ロックウェルも好演しています。
兄を殺人犯にデッチ上げる悪徳女性警察官にメリッサ・レオ(1960~)、「ザ・ファイター」(2010)・「フローズン・リバー」(2008)とは違った悪役ぶりを見事に演じていました。
警察に偽証すること脅迫され証言台に立つ証人を演じたジュリエット・ルイス(1973~)のアル中で汚れた女の役も流石(さすが)と納得する演技でした。
それにしても名女優ヒラリー・スワンクほか個性的な俳優たちが多数出演している佳作映画「ディア・ブラザー」なのに日本では、劇場公開せずに‘ビデオスルー’にしたのはどうしたわけ、もし映画配給会社が、日本で封切りしても採算取れないと考えたのなら日本の映画ファンを甘く見ていますよ。
by blues_rock | 2012-10-28 00:16 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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