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心の時空

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a day in my life

能登半島

能登半島は、伊豆半島には遠く及びませんが、上質な国産原木乾シイタケを生産する産地のひとつです。
伊豆半島については、「独鈷(とっこ)の湯」で書きましたので、そちらをご参考にしていただくとして、どうして日本列島の“半島”に、乾シイタケの生産地が多いのかと不思議に思われる方も多いと思います。
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二、三ポイントを上げれば、まず山にシイタケ栽培に必要な原木林それもシイタケを栽培するのに最適なクヌギ・コナラなど広葉樹の原林木が豊富にあること、シイタケの榾木(ほだぎ)を伏せこむ丘陵地があること、四季折々に十分な雨量(積雪)があることなどがあげられます。
a0212807_19161338.jpg昭和30年代まで乾シイタケは、お盆の精進料理用か、めでたいハレの日のご馳走用、正月のおせち料理用の高級食材で庶民には高根の花でした。
昭和30年代に入ると日本も敗戦から立ち直り始め、高度経済成長が始まり、日本人の暮らしに燃料革命が起きました。
日本人は、それまで毎日の生活に必要な、たとえば食事のための煮炊きや風呂を沸かす燃料として藁(わら)、薪(まき)、木炭(クヌギ・コナラなど落葉広葉樹の炭)を利用していました。
やがて日本各地の炭鉱から石炭を掘り出し石炭・練炭・コークスなどが、燃料の主流となりました。
a0212807_1917377.jpgさらに家庭にプロパンガスが、普及するとガス化が進み、いまでは都市ガス・オール電化の時代になりました。
その燃料革命で大量に余剰となり全国の山々に放置されたのが、それまで家庭用燃料として使用されていた広葉樹林でした。
その中でもクヌギ・コナラ・ブナ・ミズナラ・クリなど落葉広葉樹は、シイタケ栽培には最適な原木でしたから、昭和30年代になると中山間地や山麓(やまふもと)の農家は、一斉に高価な現金収入作物として乾シイタケ生産を始め、まわりの山々に豊富にある広葉樹を原木用に伐採、品種改良されたシイタケ種菌を植菌しました。
a0212807_19492445.jpg現在、日本産原木乾シイタケの生産量は、1984年(昭和59年)の国内生産量16,000トンのピーク時に比べ5分の1に落ちましたが、当時は現在の全生産量を上回る量を香港ほか外国に輸出していました。
とくに香港の中国人にとって日本産乾シイタケは、垂涎の的で人気が高く「花冬菇(はなどんこ、上から2番目の写真)」規格(2㎝~4㎝)の商品は、漢方薬品店で朝鮮人参と並べ売られていました。
a0212807_1953293.jpg中国が、改革開放(1978年)に向かうと元来乾シイタケ好きの中国人たちは、一斉に日本から密輸したシイタケ種菌をコピー(培養)し、雑木・トウモロコシの芯を粉砕した菌床培地で大量生産を開始しました。
やがて、中国産の安価な乾シイタケ(菌床栽培品)が、大量に世界中に出回るようになると日本産の世界市場シェアは、激減していきました。
日本産乾シイタケの生産量が、ピーク時の5分の1に落ちた今でも中国人にとって「冬菇(どんこ)」といえば日本産乾シイタケ高級品の代名詞で、日本産のブランド力は、衰えておりません。
a0212807_20115116.jpg新聞では、TPPについて将来の日本繁栄のために賛成だ、いや国内農業・医療は大打撃を受けるから絶対反対だ、と騒いでいます。
国(農林水産省)は、40万ha(農地だけ集めて埼玉県の広さ)を減反させ(コメの作付放棄をさせ)、減反した農家には、専業・兼業問わず一律1a当たり5万円の所得補償をする‥これだけで毎年2,000億円の税金が、コメの作付放棄(休耕田)のためにバラまかれていることになります。
a0212807_20123769.jpgそれでも家庭で食べるご飯(コメ)の消費量は減り、日本経済新聞の朝刊記事に、パンの消費金額が、ついにご飯(コメ)を上回ったとありました。
日本の肥沃な大地で、意欲のある農家や農業法人が、自由な立場で農業を消費者の視点からのアプローチし、需要のある農産品を品質・価格(コスト)と国内外の消費市場で評価され期待される農業を目指してほしいと思います。
能登半島は、今ごろ新緑の清々しい季節と思います。
輪島の棚田も田植えが終わり、棚田の水面も美しく見ごろでしょう。        (上写真4枚・下写真1枚 : 輪島の棚田、白米千枚田)
山々の落葉広葉樹は、成長したらシイタケ栽培の原木資源として伐採し、伐採した木の根元からは“ひこばえ”が生え成長(萌芽更新、上から3番目の写真)し、次の原木に育ちます。
a0212807_20224176.jpgその次も、その次も地域の自然環境が変わらないかぎり原木資源が枯渇することはありません。
能登半島や伊豆半島のような自然と気候の環境があり、乾シイタケ生産にに意欲ある担い手がいれば、世界市場で競争できる日本産原木乾シイタケを海外輸出することは、今でも可能です。
日本の‘半導体’や‘テレビ’のように海外のメーカーと同じ規格・同じ機能・同じデザインであれば、材料費・人件費・為替などコスト競争の同じ土俵で生き残れるはずもありません。      (下写真 : 千里浜海岸)
a0212807_20234140.jpg日本の自然環境と気候風土さらに肥沃な農耕地と水源を、どんなに巨額な投資をして手に入れたとしても海外の自国に持ち帰ることはできません。
世界の食料事情を考えれば、TPPなど一時の騒ぎで、日本の農業改革に必要な洗礼でしょう。
日本産原木乾シイタケも「冬菇(どんこ)」の銘柄で世界のトップ・ブランドであり続けることでしょう。
by blues_rock | 2012-06-16 01:34 | 自然/農耕/食料 | Comments(0)