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心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

人は生まれ死んでいく

介護施設となりの田んぼに水が入り、どこから飛来したのか野鴨が二羽、仲良く畦で寛いでいました。
部屋の中では、施設の飼い猫オセロが、素っ頓狂な寝ぼけ眼で昼寝をしていました。
外の収納ボックスの上では、三本足の野良猫ミルクが、いつになく警戒を解いて和んでいました。
いま私たちの介護施設を平均年齢84歳の高齢者の皆様が、年間にして延べ4千名くらい利用されています。
こうして介護施設を利用されている皆様方は、戦前・戦中・戦後の日本の激動期を生き抜き今日まで暮らしてこられました。
戦前・戦中、戦後しばらくは、相当に厳しい暮らしを強いられ、艱難辛苦の人生であったろうと想像いたします。
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家族との同居生活、老夫婦二人暮らし、1人暮らしと暮らしぶりは、それぞれ違いますが、私たちのところで過ごされている時は、皆様方一様に大きな声で歌われ、屈託なくアハハ‥ホホホ‥ワッハッハと、よく笑われます。
そんな皆様の屈託のない笑顔と穏やかに団らんされている様子を写真に撮り、毎月のニュースに掲載したり、家族レポートに添えたりして報告しています。
写真をご覧になった家族は、最初「え!?ウチの母、笑うんですか?ウチで笑った顔を見たことありません。」とか「頑固で、いつもしかめっ面している父が、歌を唄うんですか?」と驚かれることがよくあります。
程度の差はありますが、ほとんどの方が、認知症を患っておられます。
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私は、認知症があっても大笑われない高齢者、歌を唄われない高齢者は、おられないと思っています。
寝巻から衣服に替え、家を出て人(ともだち)と集い、他愛ないおしゃべりをして大声で笑い、時には大声で歌を唄う‥「あなた声の外れているよ」ととなりの人に言われ「えーっ、ほんと!?そーかなあ?」と首をひねりながら歌いまた外れる‥その絶妙の掛け合い漫才に似たやりとりに、そこに居合わせた全員大笑いです。
皆様方今日まで、きっと他人(ひと)には言えない家庭内の問題や自分の悩み苦しみを抱えておられると察しますが、ここでは一言の愚痴もなく、楽しそうな顔をして過ごされておられます。
皆様方が、いつまで私たちのところに見えるのか‥それは分かりません。
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それまでいつも笑顔で平安であって欲しいと願います。
昨年6月、地域密着の小規模多機能ホームという夜間ケア付きの宿泊できる施設をオープンしました。
私たちの施設を利用されているお客様が、時には自宅を離れ、家族とも一晩くらい離れて、親しい人や友だちと安心して夜が更けるまで語らい合い、ゆっくり眠り、爽やかな朝を迎えていただけるようにしました。
ご家族も一晩だけでも介護から離れ、ゆっくり眠り、とくに認知症の高齢者を抱える家族の皆様には、一時でも自分の自由な時間を過ごし、リフレッシュして介護ストレスで煮詰まらないようにしてほしいと思います。
明日はわが身です‥人は必ず老いて病み、そして必ず死んでいきます。
田植え前の田んぼをぼんやり眺めていたら「邯鄲(かんたん)夢の枕」の故事が、頭をかすめて行きました。
by blues_rock | 2012-06-07 01:05 | 高齢者介護(認知症) | Comments(0)