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心の時空

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a day in my life

わが母の記(認知症がテーマの映画)  シネマの世界<第62話>

a0212807_043166.jpg1年ぶりに日本映画の新作を見ました。
昨年夏「一枚のハガキ」(2011)を見て以来のような気がします。
私は、若年(じゃくねん)のころから記憶に自信がなく、高校生の時、怖い先生に廊下でいきなり「君の名前は?」と質問され、あまりに突然でしたのでビックリし自分の名前が言えず、ポカンとしていたら出席簿の硬い表紙で「君はボケか!」と頭をバシッと叩かれ、とても痛かったことを思い出します。
皆様方も今日の日付を思い出せない、自分の年齢、長年住んだ自宅の住所、電話番号、トモダチの顔や名前が憶い出せない、前日の夕食に何を食べたか憶い出せない‥こと、ありませんか?
私は、若いころから何かを記憶することが、ニガ手なので忘れないよう、いつも小まめにメモをとるようにしてきました。
しかし、そのメモすら忘れ10年20年経って、整理タンスの引き出しや手紙などを入れる書類箱の中からメモが出てきて、当時の用事を憶い出すこともありました。
今でも私は、自分の日常生活の用事は、メモしておかないと、すぐに忘れてしまいます。
a0212807_145529.jpg「認知症」と「物忘れ」の違いは、何か?‥食事したのに食事したことを記憶していないのは、明らかに「認知症」ですが、食事したことは憶えているのに、何を食べたかを思い出せないのはね単なる「物忘れ」です、心配いりません。
食事したことを憶い出せない、食事していないと言われる場合は、早くきちんと認知症専門医に診断してもらったほうが、良いと思います。
認知症を発病されても十人十色、千差万別‥症状パターンは、人それぞれですが、認知症状の進行によるワガママな言動が、本人をさらに混乱させ不安感は広がり、次第に症状は悪化していきます。
a0212807_154269.jpg認知症患者を抱える家族の日々は、家庭生活を歪ませ、そのストレスで家族全員が精神的にヘトヘトになり、肉親であるがゆえに家族間の愛憎は捻じれ、本人も家族も不幸です。
認知症は、身体の部位(パーツ)である脳の病気で、元に戻ることはないでしょう。
この脳の機能が衰える病気は、高齢・加齢による身体機能の衰えと同じこと、大袈裟に考えずに病気をできるだけ早く発見して、治療・投薬を続けながら介護施設をフル活用し、病気の進行を止め、できるだけ遅延させる治療しか方法はありません。
さて、前置きはこれくらいにして、現在全国で上映中の「認知症」をテーマにした映画「わが母の記」について書きたいと思います。
a0212807_1203449.jpg認知症は、80才~90才代の長寿の高齢者のほとんどの方に見られる病気(脳機能の衰退)であることは、前述したとおりです。
80才~90才代になれば、人間ダレでも身体機能は衰え、ADL(日常生活動作:activities of daily living)は、次第に低下します。
日常生活動作とは、三度の食事・服の着替え・体の移動・トイレ(排泄)・身支度・入浴(風呂)など普通の生活をおくるうえで不可欠な(それまでできていた)基本的行動のことを言います。
a0212807_1211268.jpg映画「わが母の記」は、原田眞人監督(1949~)が、脚本を書き監督した映画です。
原田眞人監督は、映画評論家でもあり俳優でもあります。
2003年トム・クルーズ主演の映画「ラスト・サムライ」に出演、陸軍大臣大村松江を演じていた俳優といえば、「ああ、あの人」と懐い出す方も多いと思います。
この映画の脚本は、昭和文豪井上靖が、68才の時に出版した自伝小説‥老いた母の80才から亡くなる89才までの出来事を幼いころの母の記憶と併せて書いた「花の下」・「月の光」・「雪の面」の3部作が、下敷きになっています。
a0212807_132518.jpgストーリーは、映画をご覧いただくとして、佳作映画ですので、家族に認知症の方がおられる方は、ぜひ「わが母の記」を見ていただきたいと思います。
この映画は、モントリオール世界映画祭審査員特別グランプリを受賞しました。
主演した役所広司・樹木希林の名演は、云うまでもありませんが、映画の冒頭にワン・シーンながら死の床に臥す老父をリアリティある演技で演じた三國連太郎に印象が残りました。
私にとって井上靖は、散文詩集「シリア砂漠の少年」を上梓した詩人として記憶しています。
by blues_rock | 2012-05-06 00:35 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)