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心の時空

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祭りの準備  シネマの世界<第59話>

薔薇の葬列」に続きATG映画の名作「祭りの準備」を紹介します。
黒木和雄監督(1930~2006享年76才)が、中島丈博の自伝的シナリオを映画化した1975年の映画です。
a0212807_22251045.jpg映画は、昭和30年代の高知県中村市海辺の集落を舞台に、猥雑な家族や村人たちに囲まれ暮らす若者が、シナリオ作家になるために家族や隣人たちとのシガラミを断ち切り、上京する汽車に乗るまでの集落での出来事を描いています。
映画のラスト・シーン‥上京する若者(主演した江藤潤初々しさが魅力)が、駅で殺人を犯し逃亡中の隣人(原田芳雄が名演)と偶然に出会い、彼のバンザイ三唱に送られて汽車に乗り、トンネルに入った暗闇でエンドマークが出て映画は終わります。
映画の中で時々出てくる赤い布切れの映像が、人間の原始の象徴のように感じられ、映画のラスト・シーンで原田芳雄が演じた殺人逃亡男の純朴なバンザイ三唱による別れのシーンと併せ私の印象に残りました。
a0212807_2226847.jpg青春映画で定評のある藤田敏八監督も「祭りの準備」を自分の手で映画化したかったとか、出演している俳優陣も地味ながら役者ぞろいで、この映画で女優デビューした竹下景子の瑞々しい演技も光りました。
私が、黒木和夫監督の演出に感心したのは、映画の中に登場する複数の男女の性関係を原始のままストレートに撮りながら、スクリーンには映倫の手出しできない官能的な映像でエロティシズムを表現していたことです。
映画の質は、映画監督の‘監督センス’と大いに関係あるようです。
by blues_rock | 2012-05-01 00:41 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)