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心の時空

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薔薇の葬列  シネマの世界<第57話>

1969年、映画評論家・実験映像作家松本俊夫(1932~)によるATG(アート・シアター・ギルド)作品です。
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「薔薇の葬列」は、松本俊夫監督の初長編映画で、当時日本のヌーベルバーグと呼ばれたATGの若手映画監督たちが、次々に斬新な映画を発表していました。
a0212807_21414680.jpgこの映画のテーマは、オイディプス(ギリシャ神話)です。
国王を父と知らず殺し王となったオイディプスは、王妃を母と知らず娶(めと)り、母と交わり子をなし、その事実を知って苦悩し自ら両目をつぶし放浪の旅に出たというギリシャ悲劇を昭和時代の日本(新宿)に舞台を移し映画化したものです。
映画は、モノクロながら強烈な映像印象で、1960年代後半の新宿を撮り街の雑踏や裏街をドキュメンタリー映像のように映していました。
a0212807_21422429.jpgとくに印象に残るのは、映画としての成否の要となる美少年エディの役をこの映画でデビューした当時16才の池端慎之介(ピーター)が主演、その大役を見事に演じていることでした。
松本俊夫監督は、主演の美少年エディ役が、100人近くオーディションしても決まらずに、作家の水上勉に相談しました。
舞台美術家の朝倉摂から「六本木のゲイバーに主役の美少年にぴったりの子がいる」と連絡を受けた水上勉は、自ら面接に行き松本俊夫監督に紹介しました。
a0212807_2143585.jpg池端慎之介(ピーター)の父親は、女舞吉村流の人間国宝吉村雄輝、彼自身も女舞吉村流の名取吉村雄秀で、家元候補でしたが、この映画出演で自ら名取吉村雄秀を返上したそうです。
1970年ロンドンで上映された「薔薇の葬列」を見た名匠スタンリー・キューブリック監督は、この映画に感動し当時準備をしていた自分の映画「時計じかけのオレンジ」(1971)の参考にしました。
スタンリー・キューブリック監督の名作「時計じかけのオレンジ」も強烈な映画でした。
映画のストーリーは、殺人も容認する自由主義と自由行動・自由思想を排除する全体主義を映像で対比させて、見る人の価値観と哲学を問う極めて刺激的な内容でした。
by blues_rock | 2012-04-21 00:49 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)