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心の時空

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a day in my life

円高というよりドル安 ‥ 覇権国家アメリカの没落

今夜は、少しお堅く世界経済と金融の話題です。
2月初めの為替レートは、1ドル76円でした。
新聞・テレビニュースは、円高(というよりドル安)の輸出産業へ与える経済打撃(マイナス)ばかりを強調していますが、ほとんどを海外からの輸入に依存する資源‥石油・石炭・天然ガス・鉄鉱石・銅鉱石などは、輸入品代をドル決済しますので、円高ドル安よる原料コストへの為替収益貢献度は、相当高いと思います。
日本人に必要な食料の60%は、輸入品なので庶民にもっと円高メリットが、還元されてもよさそうなものです。
私が、大学生のころ1ドルは、360円の為替レートでした。 (参考:下の円高推移グラフをご覧ください。)
「もはや戦後ではない」というキャッチ・コピーが流行り、日本の高度経済成長は、すでに始まっていたとはいえ、当時のサラリーマンの初任給は3万円くらいで、1ドル360円に換算すると月給83ドルでした。
当時、海外旅行や輸入品は庶民にとって高根の花‥スコッチ・ウイスキーやヘネシー・ブランデー(コニャツク)などは、有名デパートの高級ギフト商品でしたが、今ではディスカウント店に山積みされています。
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当然海外から輸入するバナナ・パイナップルも特別な日にしか味わえない高級くだものでした。
現在サラリーマンの初任給は20万円くらい‥円が360円時代の6.6倍、月給は当時の大会社の重役並みの高給取りになりました。
ドルは通貨価値を下げ、今や1ドル76円‥当時の5分の1にまで値下がりしました。
日本の初任給20万円をドル換算すると月給2,630ドルです。
ドルベースに換算すると40年前の、なんと30倍の初任給となり、大出世です。
以上の情勢を考えると、リッチな老後の生活を手に入れるための方策は、
1.給料は、日本円でもらい円預金する(海外で年金受給する場合、必ず日本円で受け取る)
2.生活は、物価の安定したドル経済圏で暮らす
3.安全と健康のために、治安のよい自然環境と温暖な気候の国を選ぶ
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世界史を少しおさらいすると、1930年代に発生した世界大恐慌で、アメリカはそれまで世界の富と覇権を独占していた大英帝国の没落(ポンド経済圏の崩壊)で、世界の政治・経済の覇権を担うようになり、第二次世界大戦では、連合国(戦勝国)のリーダーとして軍事の主役を勤めました。
その圧倒的軍事力と経済力で、ファシズム軍事独裁国家であったドイツ・日本を木っ端微塵に粉砕し、無条件降伏させました。
さらに、国際共産主義で覇権を進める社会主義国ソ連の経済を崩壊させ、ソ連の国家体制を消滅させました。
そして、アメリカは、唯一の超大国として世界の覇権国家となり、わが世の春を謳歌していました。
世界の基軸通貨は、ドルとなりドル紙幣を発行するアメリカの経済ルールに、世界中の国々の経済・金融システムが、支配されてしまいました。
しかし、社会主義国家ながら、4000年の歴史と華橋の子孫15億人の中国は、しっかりしていました。
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経済貧国の低賃金を武器に、世界の工場としていろいろな商品を安く製造、それをアメリカ・EUへ大量輸出し外貨を獲得、アメリカ国債を引き受け莫大なドル債権を保有し続け、世界一の金持ち国家になりました。
世界には、さまざまな国があり、歴史・文化もさまざまでどの国にもその国の伝統と暮らしがあります。
しかし、アメリカの価値観が、世界経済・金融のルールとなり、基軸通貨ドル・マネーによる市場原理主義が、世界経済の標準(グローバルスタンダード)を決めるようになりました。
集められた巨額のマネー(ドル)は、巨大金融資本(銀行・証券・ヘッジファンド)により手の込んださまざまなデリバティフ(先物)金融商品に姿を変え、新興国にある地下資源や金融資産(マネー)を収奪しました。
資産の収奪(金融新興国マネーの収奪)で一番分かりやすいのが、日本における長期間ゼロ金利政策(国民預金の利息を支払わない国策)と庶民の虎の子であった郵便貯金数百兆円を元手にアメリカ国債を購入、アメリカの巨額な財政赤字のアナ埋めに協力しました。
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巨額のマネーは、ニューヨークの投資銀行(ウォール街)とロンドンのヘッジファンド(シティには世界ヘッジファンドの90%があったそうです)に集められ、発展途上国への投資という美名で、世界中にバラ撒かれ、さらにレバレッジ(借金を担保に数10倍の借金をする投資)がかけられました。
記憶に新しい2008年夏のサブプライムローンの破綻で、世界中に広がった空前絶後の金融バブル(マネーゲーム)は、ついに行き詰まりバァーンと破裂してしまいました。
アメリカに金融工学という学問がありました。
返済能力のない貧しい人たちに無理やり借金をさせ、それを担保(債権)に高利率証券を発行、アメリカの証券会社は、世界中の銀行にそれを売りさばきました。
こんなサギ金融商法を発明したのが、もっとも優秀な経済学士号と称されるMBA学士の金融マンたちでした。
余談ですが‥私は、個人的に自分の能力のなさゆえのやっかみも含め、MBAとは、M=まるで、B=バカで、A=アホな人たちへの栄えある称号と理解しています。
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話を本題に戻して、中国は膨大なアメリカ国債を保有する国で、中国はアメリカのドル債権(アメリカ国債)を一番保有している国です。
中国がアメリカの東アジア軍事政策にブチキレて、もし報復のためドルを投げ売ったら、世界経済はイチコロ‥ドル紙幣は、紙切れ同然となり、アメリカ国内ではハイパーインフレがアメリカ経済と社会を破壊、当然中国保有の巨額ドル債権もまた紙クズ、世界経済も同時に、そのドル崩壊の大津波に飲み込まれてしまいます。
日本も中国の次にドル債権を保有していますが、日本はわが身を切っても、ドルを投売りするようなことなど決してしませんから、ワシントン政府は北京政府のご機嫌だけ損ねないようにしていれば良いのです。
戦争の敗戦国ゆえにアメリカ一辺倒で来た日出ずる国日本は、中華思想の中国と魏志倭人伝以来の長い外交の歴史に、どのように向き合い、どう付き合っていくのか‥日中両国ともお互い相手の悪口ばかり言い、イチャモン付けてケンカばかりしている場合ではなくなりました。
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博多に暮らしていると「倭国の金印」・「防塁史跡」・「唐人町・唐津の地名」など歴史教科書のことではなく、今でも玄界灘・東シナ海の向こういる隣人中国との関係をイヤでも肌で感じます。
そもそも日本語の「漢字」は、中国語ですものね。
この皮膚感覚は、東京にいると、きっと分からない‘東アジアの感触’でしょう。
東京に林立する高層ビルの窓からは、日本海・玄界灘・東シナ海の闇に動く怪しい人影が、見えず、霞が関の人々の耳には、ユーラシア大陸人民の足音が、聴こえないようです。
今でも東京の高層ビルの窓から見えるのは、太平洋の向こうアメリカ大陸の東海岸にあるホワイトハウスの灯やマンハッタンの夜景だろうと思います。 
by blues_rock | 2012-02-12 00:37 | 経済/政治/世界 | Comments(0)
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