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心の時空

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a day in my life

なれる ( 詩 : 茨木のり子 )

a0212807_2043823.jpgなれる     詩 : 茨木のり子

おたがいに
なれるのは厭だな
親しさは
どんなに深くなってもいいけれど
a0212807_2053575.jpg三十三歳の頃
あなたはそう言い
二十五歳の頃
わたしはそれを聞いた
今まで誰からも教えられることなくきてしまった大切なもの
おもえばあれがわたしたちの出発点であったかもしれない
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狎(な)れる
馴(な)れる
慣(な)れる
狃(な)れる
昵(な)れる
褻(な)れる
a0212807_20115430.jpgどれもこれもなれなれしい漢字
そのあたりから人と人との関係は崩れてゆき
どれほど沢山の例を見ることになったでしょう
気づいた時にはもう遅い
愛にしかけられている怖い罠
おとし穴にはまってもがくこともなしに
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歩いてこられたのはあなたのおかげです
親しさだけが沈殿し濃縮され
結晶の粒子は今もさらさらこぼれつづけています
by blues_rock | 2012-02-06 20:15 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)