あがた森魚 ‥ LPアルバム「乙女の儚夢(ロマン)」
戦後生まれなのに、大正ロマン溢れる情感を唄った「赤色エレジー」・「乙女の儚夢」などの名曲を収録したLPアルバム「乙女の儚夢」(1972年)は、日本ロック史に残る名盤です。
壱面に 1.乙女の儚夢 2.春の調べ 3.薔薇瑠璃学園 4.雨傘 5.女の友情 6.大道芸人
弐面に 1.曲馬団小屋(挿入曲:美しき天然) 2.電気ブラン 3.秋の調べ 4.赤色エレジー 5.君はハートのクイーンだよ 6.冬のサナトリウム 7.清怨夜曲‥「乙女の儚夢」は、全13曲からなるあがた森魚のコンセプトアルバムとして発表されました。
個人的には「清怨夜曲」がとくに好きで、この曲の刹那(せつな)的な歌詞に、哀愁をおびたメロディとタンゴのリズムが絡み、日本タンゴの名曲だと思います。
ジャケット(林静一画)は三つ折りデザインで、折込み冊子を入れたアイデアと併せ凝りに凝っています。
竹久夢二を想わせる林静一のイラストと相俟って「赤色エレジー」は、大ヒットしました。
あがた森魚のもう一つの功績は、当時まだ無名であった「はっぴいえんど(細野晴臣・大瀧詠一・松本隆・鈴木茂)」や「はちみつぱい」と一緒に活動し、アルバム制作やライブを通してバックバンドであった彼らの音楽的才能を開花させ、バンドが解散した後も、メンバーそれぞれが、ミュージシャンとして活躍のきっかけを作った功績は、大きいと思います。