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心の時空

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a day in my life

認知症 ‥ 人間の心とは?

二年半前の出来事ながら、突発性腰痛(ぎっくり腰)の激痛に苦しみました。
寝返り、寝起きができず、普段の行動もままならず、日常生活への支障をイヤっというほど思い知りました。
a0212807_2404836.jpgそして、自分が自分の意思どおりに動けないことへの恐怖も感じました。
病気は、自分の意思で罹るわけではありませんが、認知症という病気は、自分の行為や活動への自己認識がありませんので、傍で見ていて辛いものがあります。
ある70才代の女性は、書家として有名な方で、お一人で住まわれ、その暮らしぶりも凛(りん)としておられました。
私が、初めてお会いした時、この方に認知症状を感じませんでした。
ゴッホの大ファンで、ゴッホの画集を一緒に見ながらゴッホについてお話ししたら、目をキラキラさせて楽しそうでした。
他の話題についても、いろいろなことを良くご存知(博識)で、会話が弾み、この方の今に至る人生の片鱗を窺い知ることができました。
ある日、自宅で転倒され床で腰を強打、亀裂骨折により3か月くらいの入院を余儀なくされ、退院後3か月くらいの機能回復リハビリと休養期間を終え半年後に、私たちの介護施設に戻ってみえました。
a0212807_2423646.jpg長い入院による環境変化は、この方のアルツハイマー型認知症を急速に悪化させ、さらに下肢筋力もかなり低下されていました。
半年ぶりの再開で、私が「○○さん、お久しぶりです。お元気そうで安心しました。」とご挨拶すると戸惑いの表情で「‥ごめんね、顔は憶えているのだけれど、お名前が‥ごめんね。」と不安そうに答えられました。
その日、この方の好きなゴッホの画集をご覧いただき、ゴッホについてお話をすると以前のようなキラキラした表情になられました。
旧い知識や記憶の断片は確かで、感受性もすばらしいのに、自分の行為や行動が、認識できず‥この方のケア・マネージャーから、アルツハイマー型認知症疾患が原因の認知不全と推察されること、右・左(みぎ・ひだり)の区別や日々の暮らし(衣食住の生活)に支障があることを伺いました。
調理や入浴などに行為の認識がなく、日常行動も不自由とのことでした。
ある日、隣りの人が、草を料理されているの見て、慌てて認知症による要介護認定の申請をされたそうです。
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私は、この方が、ゴッホの話を憶えておられるかどうかは、さして気にしていませんでした。
私にとって重要だったのは、この方が、絵を見られる時の目の輝きや音楽を聴かれてる時の穏やかな表情を見て、いつもの不安に怯えたような表情が消え、平安な心でおられるのが分かり、私の心が和むからでした。
この方が、亡くなられて一年が、経ちました。
亡くなられる前、入院している病院では、自分の排せつ介助をする方に申しわけないからと、食事も飲み物も拒否されていた(摂取量を自分の意思で減らされていた)と、この方の妹さんから伺いました。
数か月の短い期間でしたが、この方のことを懐い出すと、人としての品性と尊厳について考えます。
by blues_rock | 2012-01-28 02:27 | 高齢者介護(認知症) | Comments(0)