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心の時空

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a day in my life

ジョルジュ・バタイユ著 ‥ 眼球譚、マダム・エドワルダ

二十代半ば、読書家の友人から‥これはおもしろいと薦められたのが「眼球譚、マダム・エドワルダ」でした。
a0212807_1233833.jpg作者は、ジョルジュ・バタイユ(1897~1962)でフランスの作家・批評家・思想家です。
文庫本として昭和51年(1976)2月に初版され、3月にすぐ増版されているので、当時話題になり売れたのだろうと思います。
野坂昭如(1930~)が、「エロ事師たち」(1963)で小説家としてデビュー、そして彼の編集する雑誌面白半分に掲載の「四畳半襖の下張」が、刑法175条「猥褻文書の販売」違反で検挙され「猥褻とは何か?」を問うワイセツ裁判をしている頃でした。
バタイユの「眼球譚、マダム・エドワルダ」は、当時の出版物としては、確かに過激な性的描写が多く発刊されたことを訝(いぶか)ったくらいでした。
発禁になった「四畳半襖の下張」は、非売となり既に雑誌を購入していた友人が、湿式青色コピーに写してくれ、それで読みました。
江戸時代の無修正春画を当時の言葉で短編小説にしたような印象でした。
「眼球譚、マダム・エドワルダ」も過激な性的表現は、確かに多いもののバタイユが、読者に媚びるような品性ない卑猥さや露出趣味の下品さは感じられず、無用な誇張の多いポルノ小説の類とは、決定的に違いました。
a0212807_1244095.jpgバタイユは、若い頃敬虔なクリスチャンであったこと、その後ニーチェを知り徹底した無神論者となったことが、根底にあるからだろうと推察します。
その背教者バタイユが、1928年文学仲間に限定して発表したのが、「眼球譚、マダム・エドワルダ」でした。
キリスト教が支配する当時のヨーロッパの社会規範は、禁欲主義の徹底や精神の抑制が、文化・社会の隅々にまで及んでいました。
時として、その閉塞感や精神の歪みは、反動となりヨーロッパで前衛的な哲学・思想を育み、特異な文学や芸術を創造するエネルギーになりました。
バタイユは、ハイデッカー(実存主義の創始者)の哲学にも傾斜していました。
彼の本質は、反キリスト教的でニーチェ的であるように思います。
a0212807_1251379.jpg余談ですが、ハイデッカーは1920年代東洋の思想や哲学に触れ、道元の「正法眼蔵」を知って、日本では中世に「存在と時間」(1927年ハイデッカー著)を認識していたと驚いたそうです。
ジョルジュ・バタイユは、多種多様なジャンルで活動し著作・評論・研究などを発表していますが、彼の職業は、生涯パリ国立図書館の職員でした。
彼の自立した生き方から分かるとおり、何ものにも媚びず束縛されない真に自由な精神をもった作家でした。
1972年三島由紀夫は、自著「小説とは何か」の中で、ジョルジュ・バタイユの「 眼球譚、マダム・エドワルダ」を高く評価していました。
by blues_rock | 2012-01-20 01:32 | 画集/本(Book) | Comments(0)