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心の時空

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a day in my life

バルチュス ‥ 思春期の少女たち

バルチュス(1908~2001没、93才)は、生涯アドレサン(思春期の少女)をモチーフに絵を描いた画家です。
                                 (下写真:和服を着たバルチュス)
a0212807_342067.jpg10月24日に「私の数寄な絵‥美しい日々」でバルチュスの絵をご紹介しましたので今夜は、画家バルチュスについて書きたいと思います。
1930年代半ばから1950年半ばあたりが、バルチュスの円熟期で「ギターのレッスン」・「テレーザの妄想」などもバルチュスの傑作と思います。
バルチュスの絵は、見る人によって評価が、大きく二つに分かれます。
絵画とは、本来そんなものですが、稀有な才能と絶賛する人と、アブナ絵の範疇に入れる人に分かれます。
性的な表現に興味をもつ人やエロティシズムの妄想にかられる人などは、ウラジーミル・ナボコフ著「ロリータ」(1955年)の表紙絵が、バルチュス作なのでロリータ趣味の象徴のように思われるのでしょう。      (下写真:1938年作品「テレーズ」)
a0212807_374189.jpg私の知る限り1970年代の日本国内の美術館に、バルチュスの絵はなく(たぶん現在も)、当時の芸術新潮に掲載された写真で見て興味がありました。
1984年京都市美術館(主催は京都国立近代美術館)で開催されたバルチュス展の感想は、予想より大作‥マチエールは粗い‥色彩はさほど‥でしたが、儚く消えていく刹那の美しさはありました。
バルチュスは「少女は、このうえなく完璧な美の象徴なのだ。 成人した女性が、すでに座を占めた存在であるのに対して、思春期の少女(アドレサン)は、まだ自分の居場所を見つけていない。 わたしの作品をエロティックと評するのは馬鹿げている。 少女たちは神聖で厳かで天使のような存在なのだから。 結局のところ、わたしとあの哀れなナボコフに共通点があるとしたら、それはユーモアのセンスだけだ。」と小説「ロリータ」を評しています。
a0212807_382269.jpgバルチュスは、若い頃からピカソ・ドラン・ジャコメッティなど稀代の画家・彫刻家たちと交流があり、当時からその個性を高く評価されていました。
1934年パリで発表された「ギターのレッスン」は‥挑発的でエロティックということでスキャンダルとなり、バルチュスは不本意な解釈を恐れ、以降40年公開されることはありませんでした。
子供の頃離婚した母親は、詩人リルケと暮したのでリルケの教育的影響も大きく、実兄のピエール・クロソウスキー(1905~2001)は、サド研究家でありニーチェ研究でも有名なので、バルチュスの描く絵が、どこか知的で品性あるのも分かるような気がします。
バルチュスは、ロックミュージシャンのデビット・ボーイやボーノ(U2)と交流もあり、2001年9月ヴェネチアで開催の回顧展に最初に駆けつけたのは、俳優のジョニー・ディプだったそうです。
                                   (上写真:バルチュスの愛娘、春海)
バルチュスは、寡黙で静かな人でしたが、生涯を貫いた自由な精神は、立派であったと思います。
by blues_rock | 2012-01-07 03:09 | 美術/絵画/彫刻 | Comments(0)