絵の話 ‥ マチス
マチスは、色彩のセンスに優れ「色の魔術師」と呼ばれました。
また、デッサンにもシンプルな線(鉛筆など)による美しい作品を残しました。
彼らの展覧会を見た人が、「なんだ!これは‥、まるで野獣のような絵ではないか!」と叫んだことから、彼ら前衛絵画グループの絵は「野獣派=フォービズム」と呼ばれることになりました。
自分の美の感性に忠実であり、自由な感覚・発想で絵を描く若い前衛画家たちの才能が生み出したフォービズム絵画は、19世期の抑圧された精神を解放し、20世紀の新世代へ「絵画とは自由な魂の表現」であることを証明しました。
当時、フォービズムの若い画家たちは、ゴッホ・ゴーギャンたち後期印象派の影響を受けており、ゴッホ・ゴーギャンは、ジャポニスム芸術運動の発端となった浮世絵に大きな影響を受けていました。
ヨーロッパに渡った江戸時代の浮世絵は、美術品としてではなく当時の主要輸出品であった磁器(古伊万里窯)を割れないよう包装し、茶箱に詰め込むための包装紙でした。
すばらしい芸術作品である浮世絵を包み紙にする極東の日本とは、いかなる国か? 当時のヨーロッパの人々、特に美術に関心のある人たちに日本美術への憧憬(あこがれ)を広め、たちまち「ジャポニスム」芸術としてヨーロッパを席巻しました。
浮世絵は、絵師・彫師・摺師・版元が共有する美意識で制作された版画で、当時のヨーロッパ宮廷文化にはない芸術でした。
江戸時代の庶民(町人)のエネルギーにより創り出された究極の大衆芸術が、浮世絵でした。