ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

安井曾太郎の肖像画

a0212807_1223358.jpg昨年、東京に出かけた時、京橋のブリジストン美術館で「安井曾太郎の肖像画」展を見ました。
安井曾太郎(1888~1955享年67才)の肖像画は、依頼主からの注文により描いた絵がほとんどです。
一般に肖像画は、一昔前まで写真がない時代の王侯貴族や金持ちの自己顕示欲のために注文された写真の代わりの絵画でした。
依頼主本人か家族をモデルに、見栄えの悪い容姿を補う修整も加え“写真のように”描いた絵が多く、感動しない退屈でつまらない肖像画がほとんどです。
例外もあります。
古代ローマ時代に描かれたフレスコの人物画、ルネッサンス期の肖像画、中世の肖像画には、絵画としての傑作も数多くありますので、美しいか否か、感動するか否かは、肖像画を見る側の好み(センス)がすべてでしょう。
a0212807_1232242.jpgさて、安井曾太郎の肖像画は、人物画と呼んだほうが的確な表現ではないかと思います。
展覧会には、63点の油彩と鉛筆による肖像画が、出品されていました。
一枚の油彩肖像画を描くために何枚もの油彩習作(エスキース)・鉛筆デッサンが描かれており、一緒に展示されているので興味深く見せてもらいました。
安井曾太郎の肖像画は「モデルが絵に似てくる」と言われます。
モデル本人を前にデッサンし、イーゼル上のキャンバスに油彩で丁寧に肖像を描き、さらに自宅アトリエで何か月もかけて一枚の絵(人物画)を完成させていく手順で描かれています。
完成された肖像画(依頼主はそのつもりで注文)を見たモデルは、決まって「これは自分ではない、似ていない」と言うそうです。
しかし、絵の完成から歳月を経て、いつの間にかモデルになった人物が、安井曾太郎の描いた肖像画の人物にそっくりになっているのに驚くのだそうです。
a0212807_1235991.jpg優れた画家には、対象(人物の本質)を見抜く力があり、その才能こそ人物画の傑作を生み出す源泉なのです。
彼の人物画の傑作に、自分の家族を描いた作品が、多いのも頷けます。
安井曾太郎は、渡仏時代セザンヌの影響を強く受けていて、薔薇などの花の絵や山など自然の風景画などにも、安井曾太郎の才能と描写力溢れる名画が、数多くあります。
by blues_rock | 2011-12-11 01:33 | 美術/絵画/彫刻 | Comments(0)