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心の時空

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a day in my life

香月泰男‥鎮魂のシベリア・シリーズ

デイサービスにみえた13名のお客様に香月泰男(1911~1974享年63才)のシベリア・シリーズ(油絵)をPCからTV画面に映して見ていただきました。a0212807_1224054.jpg
先の戦争では、全員悲惨な体験をされているので画面を喰い入るように見ておられました。
とくに外地から決死の思いで引き上げてこられた方や新婚早々の夫を召集令状(赤紙)一枚で徴兵され亡くされた方は、悲哀に満ちた眼差しでご覧になっていました。
1969年(昭和44年)香月泰男は、「シベリア・シリーズ」で第1回日本芸術大賞を受賞しています。
下関の女子校で美術教師をしていた香月泰男は、1942年(昭和17年)に徴兵され、翌年1943年に満州出兵し1945年終戦を奉天で迎えました。
満州で突然日本に宣戦布告したソ連の捕虜となりシベリアに送られ収容され、1947年(昭和22年)5月に解放され帰国するまで、シベリアの捕虜収容所3か所をたらい回され奴隷のような強制労働を強いられました。
シベリア捕虜収容所では、極寒と飢餓という劣悪な環境の中で、数多くの仲間が倒れ死んでいきました。
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生き地獄のような悲惨な捕虜生活で死んでいった仲間たちへ、絵描きである香月泰男は、自らの鎮魂として全57点の作品「シベリア・シリーズ」を描き残し「シベリアを描きながら私はもう一度シベリアを体験している」と香月泰男は、沈痛に呟いています。
a0212807_12275499.jpg当時画廊に勤めていた私の友人が、晩年の香月泰男のアトリエを訪ねた時、赤ワインの一升瓶を傍らに置いて絵を描いていたと聞きました。
シベリアでの艱難辛苦の体験を通して香月泰男は、終生人間の原罪を背負い続けていたのだろうと推察いたします。
シベリア・シリーズを描き終えた香月泰男は、故郷の山口県三隅町を「私の地球」と呼び自宅アトリエにこもり、日常にある母と子、野の草花などをモチーフに静謐(しずか)な絵を描きました。
by blues_rock | 2011-11-11 06:16 | 美術/絵画/彫刻 | Comments(2)
Commented at 2014-05-28 22:49 x
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Commented at 2014-05-29 00:37
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