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麦の穂をゆらす風  シネマの世界<第26話>

麦の穂をゆらす風  シネマの世界<第26話>_a0212807_11243679.jpg2007年カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した映画ですが、日本で上映された映画館は、全国で14館でした。
文化都市を自称自賛する首都東京ですら2館だけ‥文化都市って一体何なのでしょうか。
映画は、アイルランド民謡「麦の穂をゆらす風」にのって展開されます。
1920年代のアイルランドが舞台‥イギリスの圧政下で自由と独立のために抵抗運動に身を投じ、多くの仲間と友達を失う兄弟の物語です。
抵抗運動に興味のなかった医者の弟も抵抗運動のリーダーで尊敬する兄の影響を受けレジスタンスに参加します。
イギリスの手先である地主に脅迫されて、仲間を裏切り密告した幼馴染みを自ら処刑し号泣する弟の切なさが、胸を打ちます。
アイルランド独立運動に多くの同朋同志が犠牲となり、自治政府は樹立されました。麦の穂をゆらす風  シネマの世界<第26話>_a0212807_11261931.jpg
自治と自由独立のためにアイルランド自治政府は、支配者であったイギリスから多くの苦渋に満ちた妥協を迫られます。
老練狡猾なイギリス(大英帝国)と不平等な平和条を締結せざるをえなくなり、祖国アイルランドは北と南に分割統治され、独立した途端に内戦に向かうアイルランド共和国‥レジスタンスの仲間や友達の苦悩と悲しみ‥そしてアイルランド共和国自治政府に抵抗し反乱する弟、自由と独立のためにイギリスと妥協し反対派を弾圧する兄、弟にレジスタンスのアジトを教えよと拷問し、そして処刑する兄、拷問され処刑される弟‥現在まで続くアイルランド内戦の80年前の現実がありました。
麦の穂をゆらす風  シネマの世界<第26話>_a0212807_11271156.jpg
自由も平和は、与えられたものではなく愛する家族・信頼する友達や仲間たちの骨砕かれ、肉斬られ、血を流してできているアイルランドの歴史が、良く分かる映画でした。
U2(ボーノ)の北アイルランドへの強い愛国心は、そんな歴史にあると思います。
DVDがありますのでぜひ一度ご覧ください、推薦いたします。
麦の穂をゆらす風  シネマの世界<第26話>_a0212807_11273629.jpg
現代日本の繁栄も66年前、国家に騙された多くの家族と同朋たちの犠牲・悲劇の上に成り立っているのですが‥平和ボケして弛緩(しかん)した頭には、犠牲になった人たちの怨念にも、いま身の回りに蔓延している愚劣なものにも気が付かないのかもしれません。
by blues_rock | 2011-10-27 20:15 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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