ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

原木シイタケ栽培‥萌芽とカブトムシ

私は、農業団体全国組織で定年退職するまで37年間働いていました。
そのうち概ね20年、原木栽培によるシイタケ生産と消費の振興に関わる仕事をしてきました。a0212807_2211928.jpg
2年半前に定年退職、住まいを東京から福岡に移し四季折々、九州の山里を眺めていると、いたるところに原木シイタケ生産資源である雑木林の宝庫が残っていることに気がつきました。
シイタケ栽培用の原木の種類は、たくさんあります。
落葉広葉樹のコナラ・クヌギ(いわゆるドングリの木)を中心にクリ・シデ・ミズナラ・アベマキ・サクラなど日本の自然の山にある雑木がシイタケの原木になります。
秋の紅葉(黄葉)シーズンに、樹齢15年~20年の木を伐採したら一ヶ月くらいそのまま山に放置し、原木の葉を枯らし水抜きします。
伐採した木の根元(切り株)は、春になると新しく萌芽(ほうが)して再び成長しますので、杉やヒノキのように植林する必要はありません。
「ひこばえ」とは、切り株の根元から萌芽した‘新しい木’のことを意味します。
また15年~20年後に伐採すれば、同じように萌芽再生しますので原木資源が枯渇することはありません。
一ヶ月過ぎたら1m(90cm~120cm)くらいに原木を玉切りし“梅の開花から桜の散る季節”の候に、植菌します。
a0212807_2214999.jpg冬場の山での作業は、寒さ厳しく作業が、し辛いことや降雪・積雪などによる山での事故の危険が大きいことなどにより、梅の開花が始まる早春まで待って植菌作業を行います。
そして、桜の花が散り始める季節になると外気温が上がり、日によっては初夏の陽気になり、高温に弱いシイタケ菌は、せっかく苦労して原木に種菌しても活着率が低下しシイタケ生産のマイナスなりますので桜が散るころには、種菌を終えていなければなりません。
反対に高温に強い菌トリコデルマ菌は、シイタケ菌の最大の敵でトリコデルマ菌の繁殖したところでは、シイタケ菌は死滅いたします。
そのために原木に早くシイタケ菌を活着させ成長させて、榾木(ほだぎ)にします。
a0212807_2224363.jpgシイタケ菌は、原木のセルロースを分解し、栄養源にして成長します。
成長した菌糸体が、集合しキノコの卵である原基(げんき)を形成したら、日中の寒暖の温度変化が15度を超える季節‥春と秋に、榾木からキノコ(シイタケ)が発生します。
榾木を榾場(原木シイタケ栽培地)に伏せこみ、栽培管理(水管理)をきちんと行えば5、6年の間、毎年春と秋にシイタケを収穫することができます。
毎年少しずつ原木に植菌していけば5、6年後にはスタートした時より多くの榾木が、榾場に並びます。
古榾(ふるほだ)になり、シイタケが生えなくなると廃榾(はいほだ)として、山の端に捨てます。
自然の生態系が、偉大であるのは、伐採原木の再生もありますが、使用済みとして廃棄された榾木(廃榾)に、
a0212807_10551413.jpg
自然界のカブトムシやクワガタが卵を産卵し、ものすごい数の幼虫たちを育てるカブトムシ・クワガタのベビーベッドとなるからです。
幼虫たちは、スカスカになった廃榾をエサに成長しながら、古榾を有機質の土壌に分解していきます。
その有機質土壌が、自然の肥料として山を豊かにし、雑木林を育てるのです。
そして成虫になったカブトムシやクワガタは、萌芽再生し大木に育ったコナラ・クヌギの森で、木々の樹液を糧に、次の命を育てます。(下は廃榾の中でスクスク育ったカブトムシの幼虫たち)
a0212807_2233999.jpg今でも山(限界集落)に住んでおられる農家の方々は、見事な自然の生態系循環システムの中で原木シイタケ生産という「食料=農業=経済」という三位一体の偉大な行為を暮らしの中で生かしておられます。
by blues_rock | 2011-09-26 20:33 | 自然/農耕/食料 | Comments(0)