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心の時空

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冷たい熱帯魚  シネマの世界<第13話>

冷たい熱帯魚  シネマの世界<第13話>_a0212807_20404097.jpgこの映画で園子温監督(1961~50才)を、初めて知りました。
映画「冷たい熱帯魚」は、高級観賞魚のサギ取引にからんだ人間の際限のない欲望が引き起こす血生臭い連続殺人事件を映画にしたものです。
欲望といってもカネとオンナ(セックス)は、映画のストーリーの色添えみたいなもので、人間の欲望が制御不能になった時の正気も狂気も区別できないすざましい負のエネルギーに引き込まれ見入ってしまいました。
欲望は、映画の全編にわたって連続バラバラ殺人事件の鉛を飲み込んだような重苦しい映像で具象化されています。
映画の中で、これでもかこれでもかと容赦なく続くオゾマシイ映像(連続殺人とその死体解体処理)は観る者の心を次第に暗く不安にしていきます。
映画を観終わっても気持ちがズシリと重く、「シネマの世界」でなかなか紹介する気になりませんでした。
この映画で主演した俳優4人の迫力ある演技バトルが、壮観でした。
冷たい熱帯魚  シネマの世界<第13話>_a0212807_057615.jpg男優「吹越満×でんでん」の凶悪ぶりと女優「黒沢あすか×神楽坂恵」の体を張った真に迫る演技は、映画に緊張感をもたせています。
園子温監督の演出上の持論である「役者の力を最大限に引き出せば、化学反応が起こる」ことをこの映画で証明してみせました。
黒沢あすかと神楽坂恵の成熟したヌードは、昔懐かしい日活ロマンポルノのカットを観るようでもありました。
観客に「癒しも慰めも与えない。撮りたい映画を撮る」というポリシーをもつ映画監督の園子温は、詩人園子温冷たい熱帯魚  シネマの世界<第13話>_a0212807_20443151.jpgでもあります。
十代から詩作を続けているそうで数冊の詩集を発表しています。
詩人としての感性は脚本(台詞)や映像のカットに表れているように思います。
東日本大震災後の日本をテーマにした園子温監督の新作「ヒミズ」は、ベネチア国際映画祭で好評だったようで封切りを楽しみにしています。
by blues_rock | 2011-09-13 01:50 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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