ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

提言 TPP余話

三夜連続のTPP話題となりましたが、今夜が最終回です。
少しでも日本の農業(食料生産)について関心をもっていただけたらうれしく思います。
日本では、明治時代になる143年前まで「お米」が、経済の基準(マネー)でした。
縄文土器を使用して火を使い、狩猟生活をしていた古代日本人(縄文人)は、今から3,000年くらい前に渡来人と交わり、彼らが大陸から持ち込んだ稲作(米)による農耕生活をはじめました。
a0212807_06727.jpg
農耕民族となった古代日本人(弥生人)は、やがて倭国となり、大和朝廷を中心とした律令国家を作りました。
それ以来ずっと一貫して、領土・領地を農業耕作地として稲作(米)による“農本主義”を国家(日本民族)の価値観(国是)としてきました。
やがて、全国各地に農耕のための荘園ができ、領主や地方の地頭・地主による領土・領地の争奪戦争は、中世まで絶えませんでした。a0212807_0628100.jpg
織田信長が天下人となり、領土・領地を明確にするため「信長検地」に着手し本能寺の変で倒れると、その後を豊臣秀吉が引継ぎ、1582年「太閤検地」により諸大名たちの領地面積を「米の石高(こくだか:米の生産量)」で決めました。
徳川家康は、これをさらに徹底して、徳川幕府を支える諸藩の領地から生産される米の石高(大名の禄高)を天下に示しました。
徳川将軍家(徳川家)400万石・加賀藩(前田家)103万石・薩摩藩(島津家)77万石・仙台藩(伊達家)63万石・尾張藩(尾張家)62万石などでした。
参考までに、現代版(2008年)石高ベスト3は、1位「北海道藩の431万石」・2位「新潟藩の429万石」・3位「秋田藩の356万石」です。
今では、天下の徳川将軍家を超える雄藩が、北海道藩・新潟藩と2つもあり、徳川将軍家には少し及ばないものの、加賀藩の3.5倍の石高をもつ秋田藩と続きます。
領地内の土地(農地)の生産性を「石(こく)」で示し、領地面積を石高(こくだか)で表わしました。a0212807_07252.jpg
「石(こく)」は、成人が1年間に食べる(生きていくのに必要な)米の消費量で米2俵半(150kg)になります。
つまり、1合150gで10合=1升1.5kg 、10升=1斗15kg 、10斗=1石150kgとなります。
徳川幕府は、幕藩体制を盤石なものとするため“農本主義”による国家300年の鎖国政策を徹底的に実行しました。
昭和27年、GHQ指導による小作人への農地解放である「農地法」が制定されました。
これは、戦前の大地主が所有する耕作農地を小作人に解放し、敗戦で飢餓状態にある国民に米(ご飯)を万遍なく与え、戦後の日本にソ連・中国から共産主義が侵入し、貧しい日本に社会主義思想が蔓延するのを防ぐためでもありました。
a0212807_073115.jpg
「農地法」第1条(の骨子)は、農地を国民の生産資源と位置づけ、農地は農家自らのものでなくてはならない、農家に農地の転用を制限し、耕作による農家の権利を保護する、そのことで国民への食料安定供給を確保する‥うんぬん(省略)とあります。
皮肉なことに「農地法」が推進した稲作拡大政策は、「農地法」公布10年を待たずに米の生産過剰をむかえ、早くも農政の失敗は明らかになりました。
あわてた政府(農林水産省)は、昭和36年に農業基本法を制定し「米の減反政策~大豆・小麦へ転作奨励政策」に農政転換しました。
a0212807_08020.jpg農林族の議員たちは、権益のため農林水産省とグルになり、日本農業と農村の社会構造的問題を、今に至るまで放置しました。
「米の供給過剰(米余り)」になって50年‥休耕田(=農業放棄地)による減反農政を続けてもなお、米の生産過剰は続いています。
弥生時代から続く“農本主義の亡霊”は、TPP反対の感情論として未だに一部の日本人の中に根深く生き続けています。
「農地法」が公布されて57年後の2009年にやっと「農地の利用権(賃借権)を原則自由にする」とほんの一部が改定されました。
日本農業の振興を阻害しているのは、「競争原理の排除」と「兼業農家の過剰保護」です。
a0212807_081817.jpg
                    耕作を放棄され雑草に覆われた休耕田
まず農業外収入が生活基盤の兼業農家に、農業所得補償は無用です。
いまや「休耕田(農業放棄地)」は38万ha(11億4千万坪)もあり、その農地面積はなんと埼玉県に匹敵する広さです。(街も川も道路もない広大な農地だけの埼玉県をイメージしてください。)
この愚かな戦後農政を放置し先送りする農林族議員と農協のTPP反対は、あまりにバカげています。
まず日本は、TPPに参加しこの広大な「農業放棄地」を有効活用するために、競争力のある生産技術(ノウハウ)をもつ優秀な専業農家や情熱ある農業新規希望者に開放すべきでしょう。
a0212807_08386.jpg
               最強の雑草セイタカアワダチソウに一面覆われた休耕田
TPP参加に反対するだけで斬新な農業政策の対案もなく、補助金(税金)お強請(ねだ)りの農政では、食料自給率はさらに下がり続け、TPP経済圏の外で国力(国民経済力と国家財政力)の衰退は必然です。
今こそ日本国民(主権者=消費者=納税者)は、自らの将来のためにチエを出し合い必要なら勇気をもってリスク負担をしなければなりません。
a0212807_085553.jpg
相変わらずトンチンカンなマニュフェストに縛られた民主党政府は、現農地法にある耕作者(兼業でも登録した農家)に所得補償という名目で1反歩(300坪の農地)当り5万円の農業予算(国民の血税)をバラまくというバカげたことをしようとしています。
もっと国民全体の将来の利益になるように、日本農業について国民相互の自由闊達な議論をしなければなりません。
国家百年の計のために、国民の未来の繁栄のために。
by blues_rock | 2011-10-17 09:36 | 経済/政治/世界 | Comments(0)