いろは考‥色は匂えど
私たちのご先祖は、古代中国との交流・交易や朝廷使節の遣隋使・遣唐使による留学経験者さらに帰化した渡来人から中国文字の「漢字」を学びました。
外国語である漢字を憶えた大和人は、倭詞(やまとことば)に漢字をあて、読みやすくするために仮名をふりました。
やがて平安時代の公家(貴族)たちは、花鳥風月を愛で和歌を詠み、ラブレターの代わりに和歌を贈りました。
紫式部・清少納言・小野小町など知性豊かな女御たちの登場で、和歌(うた)詠みの音に合う平易な「平仮名文字」ができ、さまざまな書体の日本語が、完成しました。
手習い文字「いろはにほへと‥」の古典日本語の原型は、詠み人知らずの和歌をアレンジしたものです。
いろはにほへと
ちりぬるを
わかよたれそ
つねならむ
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせず
夏の昼下がり、山裾の高齢者介護施設の窓から入る風にのり、夏草の匂いが、ほのかにしています。
田んぼの稲穂も頭を垂れはじめ、庭にある枝いっぱいの青いミカンや葉陰に見える栗の毬(いが)に、秋の気配を感じます。