薔薇の名前 シネマの世界<第10話>
1987年の映画「薔薇の名前」が、上映されたので改めて見に行きました。
映画は、1327年の北イタリア寒村の山間にある修道院を舞台に、そこで起きた不可解な連続殺人事件を修道士(ショーン・コネリー)と弟子の修道士見習い(クリスチャン・スレーター)が、事件の謎解きと犯人探しをするという物語です。
ショーン・コネリー=ジェームス・ボンド(007)という強烈な個性のイメージをこの映画で見事に払拭し、ショーン・コネリーが名俳優ということを実証してみせました。
当時15才のクリスチャン・スレーターの初々しい演技も見ものでした。
この二人と絡んでいく修道士・村人を演じる俳優たちも全員個性的でリアリティがあり強く印象に残りました。
映画の印象も以前見たときとは、ずいぶん違いました。
タイトル「薔薇の名前」の華やかなイメージが、私の印象に残っていてもっとカラフルな映像と思っていました。
14世紀初頭ヨーロッパの人々が、貧困に苦しむ中で、キリスト教会は堕落し、各宗派とも偏狭な教義をめぐり陰惨な宗教戦争をしていました。
映画の舞台となった北イタリア寒村の古い修道院は、アッシジをイメージしたのではないかと想像しながら見ていました。