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心の時空

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a day in my life

自分の感受性くらい‥詩人茨木のり子さんを偲んで

「自分の感受性くらい」

ぱさぱさにかわいていく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

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苛立つのを
近親のせいにはするな
何もかもへたくそだったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

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駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

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この詩を初めて知ったのはもう三十年も前‥遠い昔のはずなのに、いつ読んでもグサグサと言葉が心に刺さり、神経がヒリヒリします。
自分という得体の知れない魔物も、この詩を読むとおとなしくなり、しばらく静かにしています。
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茨木のり子さんは、西東京市東伏見の自宅に一人暮らし、2006年2月17日病気で亡くなられた時も、自宅寝室で一人亡くなられました。
枕元には、遺書(手紙)があり日付と病名を空欄にし‥自分が死んだこと、生前のお礼、自分の弔いへの一切の辞退などが、書かれていたそうです。
一人暮らしの生前から、自分の強い意志で自らの死を準備されていたのでしょう。
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茨木のり子さんの詩から感じる人生への凛とした覚悟は、この世の孤独も寂寥も受け入れて深山の草庵で暮らす尼僧のように思えます。
心よりご冥福を申しあげます‥などと言えば、他人のことより自分の心配をしなさいとお叱り受けそうです。
by blues_rock | 2011-06-19 10:48 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)