アッシジ ~ 聖フランチェスコ教会のフレスコ壁画
1975年に初めて訪問した時は、美術館の入口から回廊に入るや‥あーっ!と声が出て、後はもう言葉もなく、まさにドキドキしながら一枚一枚の絵をジッと見ていくだけでした。
1970年代当時のウヒィツィ美術館は、人類美術史に名前を残す天才たちの名画名作が、回廊の到るところ無造
日本の美術館のようにガラス越しに見るという無粋な展示は、ありませんでした。
ルネッサンス期の天才の卓越した芸術表現能力と技術は、神業としか言いようがなく作品を見ていると本当に私たちと同じ人間なのだろうかと思いました。
多くの展示作品を紹介し切れませんが、ボッティチェリ「春」・「ヴィーナスの誕生」、フィリッポ・リッピ「聖母子と
天使」・「聖母子と聖アンナの物語」、ダヴィンチ「受胎告知」、ミケランジェロ「聖家族」・「ダビデ像」、ラファエロ「聖母像」・「ひわの聖母」など傑作が、ずらり所狭しと並んでいました。
時空を超えて、私たちが古えの天才芸術家の魂に触れることができる幸せ(喜び)は、今こうして生きているからこそと思います。
1993年に訪ねたアッシジは、イタリアの中部に位置し古都ペルージャの近くスバシオ山の中腹に広がる中世の面影をそのまま残す小さな城壁の街です。
アッシジのシンボル聖フランチェスコ教会は、旧市街にあり下部聖堂と上部聖堂の二重構造建築です。
聖フランチェスコ教会の下部聖堂に聖フランチェスコ(1181~1226)のお墓があり、上部聖堂が礼拝堂(教会)になっています。
教会の壁はジョット、シモーネ・マルティーニ、チマブエなどルネッサンス芸術の先駆けといえる画家たちが描いた美しいフレスコ壁画になっています。
ジョット(1267~1337)が「聖フランチェスコの生涯」をテーマに描いた壁画やシモーネ・マルティーニ(1285-1344)の「聖女キアラ」を描いたフレスコ壁画は、とくに印象に残りました。
聖フランチェスコは、太陽や月、自然や大地を愛した修道士でした。
ジョットは、聖フランチェスコをたいへん敬愛していました。
ジョットの「小鳥に説教する聖フランチェスコ」のフレスコ壁画は、聖フランチェスコへのオマージュと思います。
大晦日の深夜の凍えるような寒い中、ローマ時代からアッシジ旧市街の中心であったというコムーネ広場にアッシジの若者たちが集まり、障害のある友だち・仲間を真ん中に円陣を組み、ギターを弾き歌いながら皆で新年を祝う光景に胸打たれました。