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心の時空

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a day in my life

このところの金継ぎ人気で蒔絵用の細筆が、不足し困っています。
ナイロンのアクリル絵画用やネイルアート用の上質な筆が、あるにはあるものの天然素材で作られた筆や刷毛に到底及ばないのは、しばらく使ってみると良く分かります。
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筆と漆との相性、筆先の漆の含み、細い線の美しい伸びなど明確に金継ぎや蒔絵の仕上がりに表われます。
最高級品質の蒔絵用筆を‘本根朱’といい、琵琶湖に生息していたフナネズミ(クマネズミ)背中の水毛だけを使用、一本の筆を作るのに数匹分(五匹くらい)のフナネズミ背毛が、必要でしたので「幻の蒔絵筆」と呼ばれ、今
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ではもう手に入りません。
根朱(ねじ)とは、ネズミという意味ですが、ネズミの毛では、嫌がる人もいたようで根朱(ねじゅ)という字を充てて商品名にしたとのこと、現在の本根朱赤軸筆の素材は、普通のクマネズミの背毛を使用しているそうです。
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そのクマネズミも今や希少種となり、ドブネズミ(クマネズミと同種の家ネズミの一種ながらドブネズミの名前がかわいそう)の背毛や猫の毛を本根朱の代用品という意味合いで商品名最後に「替」が、付いています。
漆刷毛は、髪結い黒髪の日本人女性(昔の女性)の毛髪を数十年寝かせたものが、ベストだとか、現代女性のa0212807_22351997.jpg毛髪は、シャンプーとヘアダイによりぼろぼろで使いものにならないそうです。
現在の漆刷毛の素材は、中国女性の毛髪とか、これも中国社会の発展による女性たちへのシャンプーとヘアダイ普及で使えなくなるのが、目に見えており、わが国の伝統漆工芸を守るために女性の長い黒髪を求めさらなるアジア辺境の奥地へ素材の手当てに行くことでしょう。
古代 ‘茶の湯の精神’ が、生みだした遊び心(遊戯の世界)の「金継ぎ」は、さらなる辺境へ向かっています。

# by blues_rock | 2017-09-21 00:01 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
「ロウダウン」(2014)は、ビバップジャズの先駆者(即興演奏=モダンジャズの元祖)にして、ビバップで一世を風靡したジャズサックス・プレイヤーのチャーリー・パーカー、天才ジャズトランペッター マイルス・デイヴィスともa0212807_21533970.jpg共演していた伝説のジャズピアニスト ジョー・アルバニー(1924~1988)の伝記物語です。
監督は、ジャズを中心としたドキュメンタリー映画監督のジェフ・プライス(1961~)、脚本が、ジョー・アルバニーの愛娘で作家となったエイミー・ジョー・アルバニー(1962~) ‥ 当時前衛的なジャズであったビバップ(即興演奏)のジャズピアニストでジャンキー(ヘロイン依存症)でもあった父 ジョー・アルバニーのピアノ演奏(ビバップジャズ)を娘のエイミーは、幼いころからいつもとなりで聴いていました。
その後、作家となったエイミーは、2003年父 ジョー・アルバニーについての伝記「Low Down(内輪話)」を上梓、その原作を元に幼いころからジャンキーの父ジョーと艱難辛苦を共にしてきた娘の視点で脚本が、書かれているので彼女の喜怒a0212807_21555255.jpg哀楽のリアリティは、半端じゃありません。
1970年代のハリウッド、娘のエイミーを溺愛するもヘロインなしでは生きられず、刑務所との間を行き来する哀れなジャズピアニストの父 ジョー・アルバニー、孤独を癒しに家出したアルコール依存症の母にエイミーが、会いに行っても泥酔していa0212807_21572943.jpgる母は、ひどい言葉で思春期の娘を侮辱し聞き捨てならない暴言を吐いて追い返します。
両親に頼れない孫のエイミーをやさしく受け入れていたのは、祖母と父と同じような麻薬中毒のミュージシャンたち、売春婦、ポルノ映画を生業にする大人たちでした。
a0212807_2215942.jpgジャンキーのジャズピアニスト ジョー・アルバニーを名優のジョン・ホークス(1959~、2012年「セッションズ」は、忘れられない名演)、娘エイミーに子役を脱したエル・ファニング(1998~)、エイミーの祖母をベテラン女優のグレン・クローズ(1947~、1982年「ガープの世界」での看護婦ジェニーは強烈でした)、ジョーの友人のトランa0212807_2243049.jpgペッターにロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のフリー(1962~、2017年「ベイビー・ドライバー」に出演)、フリーは、製作総指揮も担っています。
役者ぞろいの中でジャンキーのジャズピアニストジョーを演じたジョン・ホークスの秀逸な演技は、もちろんのこと必見は、何と云ってもエイミーを演じた当時16歳のエル・ファニングのすばらa0212807_2262135.jpgしさ!です。
2016年18歳で主演したトップモデル役の「ネオン・デーモン」は、ニコラス・ウィンディング・レフン監督のミスキャスト、世界の映画ファンと評論家たちを唸らせようと仕掛けた映像作家としてのレフンマジックでしたが、ダークファンタジーは、エル・ファニングに似合いません。
a0212807_2273421.jpg天才子役ダコタ・ファニング(1994~)を姉にもち2001年2歳8か月のとき「アイ・アム・サム」でスクリーン・デビュー、8歳のとき「バベル」(2006)、10歳で「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 (2008)、13歳のとき「Virginia/ヴァージニア」 (2011) で主演と生まれながらの女優としてキャリアを積んでいます。
a0212807_228337.jpg可愛い少女、キュートな娘であったエル・ファニングも今や19歳にして、身長も175㌢と大柄で美貌スタイルともに抜群の カメラ映りの好い素材(女優)となりました。
後は、良い脚本と優秀な監督にさえ恵まれれば、名実とも確実に大型女優に成長していく若手女優の一人であると私は、この映画「ロウダウン」で演じたエイミーをみて思いました。
質の高い映画なのに日本では、劇場未公開、先日現在公開中の日本映画の秀作「三度目の殺人」を見たばかりで、少数とは云え、ちゃんとした映画を努力して撮っている人たちもいるのだなと思い、十把一絡げにして日本映画産業の体たらくについてウダウダ書くのは、もう止め(諦めること)にしました。
a0212807_2215539.jpg「ロウダウン」は、衛星映画でオンエアされただけなので、まだご覧になっていないジャズファン、エル・ファニング ファンの方々には、自信をもってお薦めいたします。
# by blues_rock | 2017-09-19 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
異才ジム・ジャームッシュ監督(1953~)独自のオフビート感あふれる最新作「パターソン」は、ニュージャージー州パターソン市に暮らすバス運転手パターソン(アダム・ドライバー 1983~、2016年「沈黙 サイレンス」にパード
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レ役で出演)とアラブ系の妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ 1983~、イランの名女優、2008年「ワールド・オブ・ライズ」でアメリカ映画デビュー、2009年イラン映画「彼女が消えた浜辺」主演)の月曜日朝から日曜日夜までの一a0212807_14123525.jpg週間を詩情とリアリティ溢れる映像で淡々と描いただけの作品ながら心に残る秀作映画です。
主人公のバス運転手パターソンの趣味は、詩を創作すること、毎日朝6時過ぎに起き、横で寝ている愛妻ローラに軽くキスをして、簡単なシリアルの朝食を摂りバス会社に歩いて向かいます。
a0212807_1413174.jpg帰宅すると妻と夕食、食後不細工なブルドッグの愛犬マーヴィンと夜の散歩に出かけ途中バーでビールを1杯だけ飲んで帰ります。
そんな代わり映えしない日々の暮らしながら詩作するのが、趣味のパターソンにとっては、同じ日などなく、毎日運転席から彼が、見た街並みや歩く人たち、車内でおしゃべりする乗客の会話など日常の些細なことをいつも持ち歩るいているノートに詩a0212807_14154630.jpgを書いていました。
映画は、そんなバス運転手パターソンが、営む普段の穏やかで慎ましい暮らしぶりを丁寧に描いています。
映画「パターソン」を見るとインディペンデンス系映画の映像作家(映画監督)にして詩人でもあるジャームッシュ監督は、マンハッタンから1時間くらいの移民の多い(多い順からラテン系・黒人系・白人系・アラブ系・アジア系など)人種・民族の坩堝a0212807_14181435.jpg(るつぼ)である小都市パターソン(人口15万人)に特別な愛情もっていることが、よく分かります。
パターソン出身には、アメリカを代表する二人の詩人 ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ(1883~1963)とアレン・ギンズバーグ(1926~1997)が、いてウィリアム・カーロス・ウィリアムズは、パターソン市の小児科医にして詩人でした。
a0212807_1419238.jpgビートニク詩人のアレン・ギンズバーグは、現代アメリカ文学・芸術(演劇・ロック)に大いに影響を与えました。
パターソン出身といえば、白人警官によるデッチあげ殺人の冤罪で20年間刑務所に服役した黒人の元プロボクサー ルービン・カーター(1999年映画「ザ・ハリケーン」の主人公、ボブ・ディランも名曲「ハリケーン」で激しく抗議しアメリカ社会を告発)が、います。
静謐かつ情感あふれる映像を撮ったのは、名撮影監督 フレデリック・エルムス1946~、1987年「ブルーベルベッa0212807_14203992.jpg」、1991年「ワイルド・アット・ハート」、2009年「脳内ニューヨーク」、2013年「25年目の弦楽四重奏」など多くの名作を撮影)です。
映画のストーリーは、月曜日から日曜日まで7日間のその日の始まりが、スクリーンにクレジットされ、朝6時過ぎに起きるところからパターソンの一日をカメラは、追います。
a0212807_14314472.jpg映画の中でパターソンが、作る詩も字幕で映し出されていきます。
パターソンの詩は、ジャームッシュ監督が、詩人ロン・バジェット(1942~)に依頼したそうで映画のために創った詩も数篇あるようです。
パターソンと妻ローラの穏やかで静かな日々に小さな波風を立てるのが、不細工で素っ頓狂な愛犬ブルドッグのマーヴィンです。
マーヴィンを演じたイングリッシュ・ブルドッグのネリーは、その名演でカンヌ国際映画祭‘パルム・ドッグ賞’を受賞 ‥ 映画の撮影後死去したネリーにa0212807_1435368.jpgジャームッシュ監督は、エンドクレジットの最後に「ネリーに捧げる」と弔意を表わしています。
パターソンと横で眠る妻ローラの和やかな毎朝のベッドもジャームッシュ監督の演出は、とても繊細で夫婦愛を観念的に見せるのではなく、ひと朝だけベッドのシーツから下着を付けていないローラの左大腿部が、はみ出しているシーンには、その夜愛し合う二人が、セックスしたことをさa0212807_14362144.jpgらりと的確に表現するディテールの丁寧さに感服しました。
ジャームッシュ監督お気に入りの日本人俳優 永瀬正敏(1966~)が、映画の終盤、詩人の街パターソンを訪ねた日本人として登場、大切な詩作ノートを愛犬マーヴィンに喰い破られ公園で気落ちしているパターソンに新しいノートをプレゼントし励ます詩人の役でした。
# by blues_rock | 2017-09-17 00:17 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_10132479.jpg福岡市中央区笹丘のイオンモール地下にある韓国家庭料理店「こやん」は、何と云っても ‘石焼ビビンバ’ が、お薦めです。
「こやん」とは、韓国語で‘故郷’という意味だそうで韓国お袋の味なのでしょう。
熱々の石の器に盛られたビビンバが、ジュウジュウ音を立てているので、それにふうふう息を吹きかけ冷ましながら口に運びます。
テーブルに置かれた白菜キムチは、うれしいことにフリー ‥ ヒンヤリした白菜キムチとのバランスも絶妙です。
すぐ近くに黒田藩ゆかりの池泉廻遊式日本庭園「友泉亭」が、あり四季折々 美しく、食後の散策に打って付けの名園なのでぜひ訪ねてみてください。
# by blues_rock | 2017-09-15 09:15 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
是枝裕和監督(1962~)の最新作(原案・監督・脚本・編集)「三度目の殺人」を封切り初日に見ました。
是枝監督作品は、1995年の長編映画監督デビュー作品「幻の光」からずっと見て来た是枝監督ファンとしてこのところ家族を主題とした映画ばかりが、続き私は、正直少し欲求不満気味でした。
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そんなこともあり是枝監督新のダークな法廷心理劇映画「三度目の殺人」は、私を大いに満足させました。
私が、これまで見た法廷劇の名作と異なり是枝監督の「三度目の殺人」は、謎解きをしないで結論も出さず真実が、明かされないまま終わる心理サスペンスの法廷劇です。
a0212807_751871.jpg映画のプロットは、1950年の日本映画「羅生門」(ヴェネツィア国際映画祭グランプリ受賞作品)と同じ‘藪の中’、つまり三度目の殺人を犯した容疑者の供述(犯行の物的証拠が、なく自供をころころ変える推定殺人犯)に振り回される弁護士たち、裁判の数少ない情況証拠の真相に深く関わる被害者の妻と娘二人の食い違う証言、自白調書をもとに死刑を求刑したい検察官、裁判をさっさ終えたい裁判長など個人の思惑が、交錯しながら映画は、最後まで容疑者の底知れぬ心の闇に振りa0212807_7534197.jpg回される弁護士を緊張感たっぷり描いています。
是枝監督は、気心の知れた常連製作スタッフ、撮影監督の瀧本幹也(1974~)始め美術監督の種田陽平、照明の藤井稔恭と1950年代の犯罪映画の特徴であった「光と影」例えば、1952年日本公開のイギリス映画「第三の男」など、当時の名作映画が、表現した美しい陰影を追求、全編ダークな色調にあって室内に射す光と影のコントラストは、抜群な心理サスペンス効果を生み出しました。
a0212807_7542071.jpg是枝監督たっての要請で音楽を担ったイタリアの作曲家ルドヴィコ・エイナウディ(1955~ 2011年フランス映画「最強のふたり」の音楽監督)の音楽も秀逸、彼は、撮りあがった映像を見ながら作曲したそうでピアノの淡々とした静かな旋律が、登場人物の情感を見事に表現していました。
是枝監督は、ヨーロッパの映画評論家から‘成瀬巳喜男のフィルム’のようだと言われたことを大変喜んでいましたが、成瀬監督の名作「浮雲」を思い浮かべると‘映画の判断は、見る人に任せる’という成瀬監督作品への
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オマージュが、感じられました。
「三度目の殺人」は、上質な心理サスペンス法廷劇映画ながら同じヴェネツィア国際映画祭でグランプリ受賞した黒澤明監督作品「羅生門」が、あるので今回無冠だったのは、仕方ないことかもしれません。
a0212807_803446.jpg三度目の殺人を犯した容疑者三隅を演じる希代の名優 役所広司(1956~)ならびに裁判に勝つために真実は要らない、さらに依頼人(殺人容疑者)への共感も理解も不要と断言するクールな弁護士重盛を演じる福山雅治(1969~)の表情をシネマスコープのスクリーンいっぱいにエクストリーム・クローズアップした映像や接見室のガラス越しに対面する二人をツーショットで撮った画面は、この映画の秀逸な見どころです。
容疑者の三隅は、決して口に出さないものの、暗い翳(かげ)のある足の悪い被害者の娘咲江(広瀬すず)に幸a0212807_823236.jpg薄い自分の娘と重ね合わせ、彼女が、弁護士重盛の調べにためらいながら答えた「殺された父は、長年私に性的暴行(レイプ)をしてきた人でなしで、三隅さんが、私を助けてくれた」との証言のように咲江の代わり天誅を下したのか、三隅は、弁護士に無断で週刊誌の取材に応じ保険金8千万円の掛けられた被害者を週刊誌スクープ記事のように妻(斎藤由美)の依頼で殺したのか、さらに裁判が、佳境に入ると突然「本当は、殺していない」と主張し始め供述(動機)を二転三転、ころころa0212807_83215.jpg変える三隅にイラ立つ裁判長(井上肇)や検察官(市川実日子)、その度に奔走する新人弁護士(軒弁の)川島(満島真之介)など演技の上手い出演者たちが、三度目の殺人容疑者三隅の役所広司と初めて真相を知りたいと思う弁護士重盛の福山雅治をしっかり支えています。
弁護士の重盛が、容疑者の三隅を称して、ぽつりと独り言で‘空っぽの器’と云うシーンは、裁判所(司法システム)が、加害者と被害者の利害を調整する場所であり、その結果としての罪と罰だけは、存在することを意味しa0212807_855982.jpgていると思います。
裁判は、罪の真相を究明する場所でなく、裁判に真相究明も必要なく必要ともされないという現実の不条理さを是枝監督(左と上写真 3枚、撮影中の是枝監督)が、最新作の法廷心理劇映画「三度目の殺人」で見事に表現し訴えていました。
# by blues_rock | 2017-09-13 09:13 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
玄洋窯の陶芸教室で いま挑んでいる‘破れ茶碗’の作陶に、手間取り、その合間にむらっ気で「灰釉木の葉皿」
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2枚を創りました。
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何とも野暮ったくシャープさに欠けますが、エアプランツとの相性は、良いようです。
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その日の帰り、玄洋窯 駐車場前(下写真 トンネルの向こう)の路上で、枇杷の落ち葉を拾いました。
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概ね乾いているものの少し柔らかいので、これ以上葉の形が、壊れないよう拭き漆(生漆を樟脳油で薄め柔ら
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かい筆で塗り綿棒で拭き固める)を二回してみました。
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これからさらに数回、拭き漆を続けてしっかり固めたいと思います。
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見渡せば、漆工芸(あるいは 漆遊び)の素材(ネタ)は、至るところに転がっているものです。
# by blues_rock | 2017-09-11 01:19 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(2)
私は、‘映画ならでは’ の傑作というのは、こういう作品のことを言うのだと思います。
2016年アメリカ映画「サーテン・ウーメン(ある女性たち)」は、何とも侘しい寂寥感を漂わせながら、4人の女性
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それぞれ(Certain Women)の普段の生活 ‥ 彼女たちの人生が、同時進行の群像劇として描かれ 人間なら誰にでもある根源的な孤独感は、映画を見ている者の心にもひしひしと伝わってくる心理ドラマの傑作です。
a0212807_11422074.jpg監督(・脚本・編集)は、インディペンデント系映画の才媛ケリー・ライヒャルト監督(1964~ 左写真中央の女性)で、彼女の秀逸な演出を16mmカメラで撮ったクリストファー・ブロベルト撮影監督(1970~、2014年秀作「ロウダウン」の撮影監督、ライヒャルト監督の左横でカメラ・フレームの確認している男性)映像(カメラワーク)が、実にすばらしくお見事です。
a0212807_11524680.jpg主人公4人の女性を演じる何れも名女優たち、ベテランのローラ・ダーン(1967~)、ライヒャルト監督お気に入りのミシェル・ウィリアムズ(1980~)、キャリア実力ともに演技派のクリステン・スチュワート(1990~)、無名ながら優れた存在感をもつリリー・グラッドストーン(1986~)の卓越した演技は、ライヒャルト監督の繊細な演a0212807_1155506.jpg出を見事に表現、彼女たち4人それぞれの孤独な心情が、自然でリアリティに溢れ見る者の心にじわじわと切なく迫ってきます。
この映画の製作総指揮を名匠トッド・ヘインズ監督(1961~)が、担っていることも見逃せないと思います。
a0212807_1156459.jpg日本語版のタイトルは、原題の「サーテン・ウーメン(Certain Women ある女性たち)」が、「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」に変えられプロットの説明になっているのは、いただけません。
主人公の女性たちは、自ら自分の人生を選択しているわけではなく、今在るその時どきの現実を受け入れ今日をただ黙々と生きている( ライフ・a0212807_1159241.jpgゴーズ・オン している)だけなのです。
映画は、アメリカ北西部モンタナ州の静かな田舎町を舞台に、ストーカーのように付きまとう厄介な依頼人に振り回されている弁護士のローラ(ローラ・ダーン)、家族と暮らす新居の建設で頭がいっぱいながら同時に夫と離婚することも考えている主婦のジーナ(ミシェル・ウィリアムズ)、数人かつ高齢のa0212807_1212622.jpg受講生しかいない夜間学校で労働法を教える若い弁護士のエリザベス(クリステン・スチュワート、小さな牧場で数頭の馬と暮らしエリザベス会いたさに夜間学校に通うネイティブアメリカンのジェイミー(リリー・グラッドストーン)‥この4人の女性たちの懸命に生きる今の姿を丁寧に描いています。
a0212807_1222085.jpgライヒャルト監督の静謐ながら暗くならない(希望のある)緻密な心情描写は、この映画の見どころで、映画が、好きな女性にお薦めしたい名作です。
「サーテン・ウーメン(ある女性たち)」は、脚本(=構成)、監督(=演出)、配役(=出演女優)と‘優れた映画の基本3原則’をすべてクリアする新作映画なのに映画会社が、わが国の観客a0212807_124154.jpgに人気ないと思ったのか 劇場未公開、これではあまりに情けなくジャンクな映画の氾濫する映画貧国ニッポンの現況を憂いています。
旧日本映画の熱烈ファンとして敢えて苦言を呈するのは、過って世界の映画界をリードした日本映画の復興を切に願うからです。
# by blues_rock | 2017-09-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
軍事サスペンス映画「アイ・イン・ザ・スカイ」は、2015年イギリス製作の映画ながら、前年2014年のアメリカ映画「ドローン・オブ・ウォー」と併せてご覧いただくと、軍事偵察衛星ならびにドローンを駆使した「現代戦争の実態」
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をよく理解することが、できます。
映画をご紹介する前に、このところ物騒かつ不穏な北朝鮮の現況に関連して 「アイ・イン・ザ・スカイ」のことに
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ついて書こうと思います。
「アイ・イン・ザ・スカイ」と「ドローン・オブ・ウォー」、この2作品を見た方は、‘北朝鮮の愚劣な太っちょ(暴力団金a0212807_1355481.jpg組の組長)’を排除(暗殺)することくらいアメリカとその同盟国が、その気になれば、朝めし前であることに気づくはずです。
しかし、問題は、その後のことで、奴隷状態で抑圧され絶対支配され続けて考えることのできない飢えた2千5百万人の北朝鮮貧民(人民ではない)が、中国・韓国・日本の近隣国ほか世界中に難民として拡散することにあり、ただでさえグチャa0212807_1362615.jpgグチャな国際社会をこれ以上紛争の多い無秩序な世界にしてしまうことをアメリカ・中国・ロシアの覇権大国は、警戒(とくに東北3省に2百万の朝鮮族が住む中国は、治安上深刻)しています。
北朝鮮に原油や鉱物などの地下資源が、あれば、とっくの昔、アメリカは、アラブ世界のように制圧していたでしょうが、北朝鮮など最貧国(世界11位
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の韓国GDPのなんと45分の1)に鼻から興味などなく1950年に朝鮮半島で勃発した共産主義勢力との戦争に介入した後始末(休戦した朝鮮戦争も北朝鮮の認識は、今もなお戦争中)を未だに引きずっているのです。
a0212807_1392187.jpg北朝鮮のプロバガンダTVが、表向き大声でミサイルや水爆核弾頭は、アメリカ本土攻撃用だと喚(わめ)いていますが、戦争の最高軍事機密を敵国向けにペラペラ言うはずもなく、北朝鮮の軍事ターゲットは、叔父や長男を担ぎ中国の傀儡(かいらい)政権にしようとした中国共産党 習政権にあり「北朝鮮に手を出すと中国全土いつでも攻撃できますよ」との暗黙のメッセージでa0212807_1394872.jpgあると理解すると国際関係の緊張感と世界政治の本質を良く理解できます。
朝鮮民族は、5百年間 朝鮮半島に君臨した中国系女真族李氏朝鮮(李王朝)の支配から1910年の日韓併合(日本帝国による大韓帝国併合)により歴代中国王朝のクビキ(=朝鮮半島は有史以来中国の支配地)を逃れたものの旧日本帝国の植民地になりました。
a0212807_13102752.jpg1945年の日本(旧日本帝国)敗戦で朝鮮半島は、38度線を国境(非武装休戦ライン)として南北に分断され現在に(1953年朝鮮戦争休戦のままの状態で)至っています。
北朝鮮(国名の朝鮮民主主義人民共和国とは噴飯ものながら)の国家体制は、三男坊の祖父が、旧日本帝国の現神人(あらびとがみ)天皇制をそっくりコピーしたものでサイコパスな父親の跡目(DNA)をa0212807_13111083.jpg受け継いだ金組三代目の三男坊は、寝首を掻かれまいと躊躇なく叔父と長男を抹殺しました。
‥と云うことで「自衛隊合憲うんぬん」、「憲法第9条改正 うんぬん」など小賢しい議論でダッチロールしている平和ボケした日本国民一人でも多くの方に世界の現状をこの最新の戦争アクション映画「アイ・イン・ザ・スカイ」と「ドローン・オブ・ウォー」併せてご覧いただき
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覚醒して欲しいと切に思います。
「アイ・イン・ザ・スカイ」は、ケニアのナイロビ郊外、イギリス・アメリカ・ケニア3軍合同作戦によるイスラム原理主a0212807_1315846.jpg義テログループ アル・シャバブのアジト(隠れ家)を監視していた軍事偵察衛星とドローンMQ-9 リーパーが、現場で自爆テロの準備をしている証拠映像を捉えました。
監督は、南アフリカのギャヴィン・フッド監督(1963~)、ロンドンにいる主人公のイギリス軍パウエル中佐(ヘレン・ミレン 1945~)と上司のベイソン国防副参謀長(アラン・リックマン 1946~a0212807_1316949.jpg2016、1988年「ダイ・ハード」の冷酷なテロリスト役で長編映画デビュー、強烈な印象を残す)が、指揮するテロリスト捕獲作戦をアメリカ本国にある地上誘導ステーションから遠隔操作、監視センサー搭載のドローン偵察攻撃機を操縦するワッツ中尉(アーロン・ポール 1979~、2016年「トリプル9 裏切りのコード」主演)と標的センサーを操作するガーション上等航空兵(フィービー・a0212807_13164737.jpgフォックス 1987~)の2人は、パウエル中佐の指令で実行していました。
現地部隊の工作員ファラ(ソマリア出身の俳優 バーカッド・アブディ 1985~、2013年「キャプテン・フィリップス」のテロリストを好演、2017年「ブレードランナー 2049」に出演)と隠れ家の隣に住む少女アリア(アイシャ・タコウ)の存在感が、映画を見ている者にさらなa0212807_13172814.jpgるリアリティを感じさせてくれます。
現在アメリカは、世界一安全な戦場 と呼ばれる本国の地上誘導ステーション(軍事基地)から軍事偵察衛星(推定100機)とドローン偵察攻撃機(372機保有)に搭載した域監視センサーを遠隔操作、中国・ロシア・北朝鮮は、言うに及ばず世界各国の軍事情報を収集し、常時危機管理しています。  (上写真 : 映画ポスター前のギャヴィン・フッド監督)
# by blues_rock | 2017-09-07 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_944580.jpg巣から落ちたまだ嘴(くちばし)の黄色い子雀を高齢者介護施設 森の家のスタッフが、保護し餌をやっていたら、すっかり人に慣れ、‘手のり雀’になりました。
スタッフたちの手や肩、頭にとまり、人を恐れる様子は、まったくありません。
自然にいるはずの雀が、施設の部屋を飛び回るので 高齢者の方々は、目の前に舞い降りた雀にびっくり、おやつを啄(つい)ばみ、イタズラするので歓声や笑い声が、絶えません。
森の家のまわりには、自由な自然が、いっぱいあるのに雀のお宿へ還る気もなさそう ‥ ともあれ、雀の自由にさせたいと思います。

(左写真 : 私の左手首にとまった雀)
# by blues_rock | 2017-09-05 00:05 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
劇場(KBCシネマ)公開の初日に私は、フランスきっての名女優 イザベル・ユペール(1953~)の最新作「エル ELLE」を見ました。
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当年取って79歳のオランダの名匠 ポール・バーホーベン監督(1938~ 1987年「ロボコップ」、1990年「トータル・リコール」、1992年「氷の微笑」などの名監督)と当年64歳になるイザベル・ユペールが、スクリーン上で醸し出す
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このアナーキーにしてエロティックな(妖艶な)バトルをゾクゾクして見入りました。
映画は、冒頭イザベル・ユペール演じるゲーム製作会社の女社長ミッシェルが、高級住宅街の自宅で黒装束にa0212807_4393998.jpg目出し帽の暴漢にレイプされるシーンから始まり社内外に敵の多いミッシェルの人間関係とさらに複雑な家族関係をフラッシュバックさせながらバーホーベン監督は、ミステリアスにしてエロティックそしてサスペンスタッチ(サイコスリラーかも)で、見る者の心理を煽り最後までぐいぐい引きずり込んでいきます。
a0212807_511224.jpgそれにしてもイザベル・ユペールの60代半ばとは、到底思えないセクシー(エロティック)さ、に驚きます。
これは、バーホーベン監督の演出によるものとしても彼女の演じるミッシェルの放つ性フェロモンは、彼女のまわりにいる若い女性の性フェロモンが、色あせるくらい強烈です。
とにかくミッシェルは、レイプされても落ち込み悩む風でもなく、毅然として仕事を続け、元夫や友人、同僚に平a0212807_512871.jpg然とそのことを話す彼女をダークなカメラ映像が、スクリーンに映し出していきます。
フランスの名撮影監督 ステファーヌ・フォンテーヌ(2005年「真夜中のピアニスト」、2009年「預言者」、2012年「君と歩く世界」とジャック・オーディアール監督作品を多く撮る)のカメラワークとダークな色調が、すばらしく、ミステリアスにしてエロティックな「エル ELLE」のプロットを途中からサイコサスペンスなタッチに変奏するも‥とにかく映画は、最後まで展開が、どうなるのか分a0212807_5144188.jpgからないまま見る者をドキドキ緊張させながら終わります。
相当癖のあるミッシェルを演じる演技巧者のイザベル・ユペールに挑むのが、フランスのローラン・ラフィット(1973~ 「ミモザの島に消えた母」)、アンヌ・コンシニ(1963~ 「潜水服は蝶の夢を見る」、「灯台守の恋」)、シャルル・ベルリング(1958~ 「夏時間の庭」)、ベルギーの女優 ヴィルジニー・エフィラ(1977~)です。
a0212807_5184783.jpgミシェルは、自宅でレイプされながら警察を呼ぼうとせず、犯人の正体を突き止めようとしますが、自分の中に潜在していた性的嗜好や性衝動に突き動かされたミシェルは、封印していた少女のころに遭遇した壮絶な事件のトラウマを憶い出し、同時に身辺で不審な出来事が、頻繁に起きるようになりました。
a0212807_5194064.jpgレイプの被害者でありながら妙にふてぶてしく凄味を見せつつも、時に気弱さも感じさせるという難しい役どころをイザベル・ユペールは、癖のある女性を演じさせたら天下一品の見事な演技でバーホーベン監督の演出に応え「そういう役だと理解して演じただけです」とプレスのインタヴューにもさらりと答えています。
a0212807_5215589.jpg名女優イザベル・ユペールが、稀代の女優としてどこまで行くのか ‥ 一人のファンとしてこれから出演する作品を大いに楽しみにしています。
(左写真 : ポール・バーホーベン監督と打合わせるイザベル・ユペール)
# by blues_rock | 2017-09-03 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(1)